RAのエディトリアルインテグリティへのコミットメント

RAのエディトリアルインテグリティの実践概要

RAのエディトリアルとは、エレクトロニックミュージックに関する私たちの様々な形式の報道を指します。レビュー、特集記事、ニュース、映像、ポッドキャスト、そしてRAピックなどを担当する私たちのエディトリアルチームは、独自のガイドラインとコミットメントのもと活動しています。

この概要は、私たちのエディトリアルチームが独立性を保ち、利益相反のおそれに対応する方法として定義する、RAのエディトリアルインテグリティ(編集上の高潔さ)に対する姿勢を要約したものです。これらは私たちが長年にわたり磨きをかけてきた理念とプロセスであり、私たちが2020年6月に発表した透明性の向上へのコミットメントの一環として公開しています。以下は、私たちの報道が可能な限り誠実で正確、そして独立したものであることを保証するためのものです。


RAのビジネスモデル

RAは、広告とチケットセールス、パートナーシップ、そしてイベントによって収益を得る、インディペンデントな会社です。エディトリアルコンテンツは、弊社のプロダクト全体の価値の中核を成していますが、私たちはいかなるエディトリアルコンテンツからも直接収益を生み出すことはありません(ただし、以下で説明するスポンサードコンテンツを除きます)。誰を、何をカバーするかの決定は、純粋に読者の皆さんを念頭において行われます。皆さんに何かを紹介するのは、私たちが本当にワクワクしているから、そして皆さんにもそれについて知ってほしいと考えているからです。


編集権の独立

RAでは全部署が連携しており、エディトリアルチームも例外ではありません。社内の全員に関わる重要な問題に関しては、エディターが他のスタッフたちと協力し、彼らの視点が私たちのメッセージに確実に反映されるようにします。しかしどのような状況においても、RAの掲載内容に関する最終的な決定権はエディターが有します。

私たちのライターとエディターは、自分たちが信じていない内容を掲載することを社内外の人間から強要されたり、不当に圧力をかけられることはありません。また、特定の方法で何かの取材を強要されることもありません。RAに費用を払うことによって、あるいはなんらかの方法でレビューや特集、ニュース記事、その他の形式のエディトリアルコンテンツの掲載を確約することは、どなたであってもできません。これはアーティスト、レーベル、プロモーター、パブリシストだけではなく、RAのコマーシャルパートナーにも当てはまります。RAのスタッフが無償で音源(詳細は以下に記載)やイベントのゲストリストを得ることは確かにありますが、記事の掲載と引き換えにそれらを受け取ることは決してありません。

RAは、世界各地のクラブやフェスティバル、プロモーターと、チケット及びコマーシャルパートナーシップを提携しています。これらの関係性のため、RAがパートナーに関するエディトリアルコンテンツを掲載することは避けられません。しかし、私たちの報道が、パートナーを喜ばせる必要性に左右されることは決してありません。

RAコマーシャル部門のスタッフが、クライアントからの掲載依頼をエディトリアルチームに回すことがあります。その際は、掲載依頼に関するビジネス関係をエディトリアルチームに開示し、エディトリアルチームが依頼を拒否する権利があるとパートナーに伝えることが求められます。契約の中で特定の記事の掲載を保証することはできず、事実誤認の修正を除き、パートナーは掲載内容への編集を要求することはできません。


RAとその従業員、コントリビューターに関連する報道

RAのスタッフライターとフリーランサーは、常に利益相反を開示しなければなりません。彼らは自身の過去や現在のプロジェクト、あるいは友人関係にあたる人に関連することについては執筆できません。ジャーナリストの立場からすると、個人的な繋がりは有用であり、それによって貴重な視点、信頼、アクセスを得ることができます。職場外でも継続する個人的な関係として私たちが定義づける友人関係は、これとは異なり、交渉の余地のない利益相反を代表するものです。要するに、RAのライターは自分自身、あるいは友人について書くことはできません。

ごく稀に、私たちはRAのスタッフあるいはコントリビューターが関わる音楽またはプロジェクトについての記事を書くことがあります。そうするのは、彼らの音楽を無視することが私たちのオーディエンスの不利益に繋がると私たちが考える時のみです。そうした場合であっても、記事の提案及び執筆は、当該のスタッフあるいはコントリビューターと私的な繋がりのない人間が行わなければなりません。また、掲載する際にはRAと当該者の関係性は必ず開示されます。

RAは、自社企画のイベントのほか、フェスティバルとのパートナーシップやステージをホストすることがあります。サイト上やソーシャルメディア上で、自社企画イベントやフェスティバルとのプロジェクトについては紹介しますが、それらのレビューを掲載することはありません。


プロモとパブリシスト

RAのライターとエディターは、毎週のように無償で音源(プロモ)を受け取ります。それらはアーティストやレーベル自身から送られてくることもあれば、アーティストやレーベルが雇ったパブリシスト(広報担当)から送られてくることもあります。多くの場合、私たち側からプロモを要求することはありません。送られてきた音楽をレビューする義務も、私たちにはありません。プロモや取材に関する見返りは、一切ありません。

中には、特集記事やポッドキャストのアイディアを私たちに提案するパブリシストもいます。私たちは、私たち自身のアイディアやフリーランスライターのアイディアを優先しますが、私たちがもともと検討していたアイディアと合致する場合はパブリシストからの提案に同意します。こうした場合、パブリシストの役割は、アーティストの代理人としてインタビューやその他のロジスティクスを調整することが主になります。彼らが掲載内容に関して特定の視点や焦点を働きかけることも、時折あります。しかしここでは、他のあらゆるケースと同様、私たちが掲載するものに関するクリエイティブとエディトリアルの決定権は私たちが保持します。

たくさんの素晴らしい音楽がプロモサービスから提供される一方で、私たちはそのことに頼りすぎないよう注意しています。私たちのレビュアー及びエディターは皆、日々音楽を掘り、そうした有償のサービスにサポートされていないアーティストやレーベルも必ずカバーするよう心がけています。


スポンサードコンテンツ及び有料パートナーシップ

RAは時折、ブランドパートナーやその他の第三者とのコラボレーションによって製作したコンテンツを掲載します。これらは大きく分けて2つのカテゴリーに分類されます。1つはスポンサードコンテンツ、つまり有料パートナーシップです。その例の1つが、Asahiとの共同企画であり、DigidayのMarketing and Advertising Awards Europeで最優秀ブランドコンテンツシリーズ賞を受賞した、日本のリスニングバーについての映像シリーズです。このコンテンツ(サイト上、及びソーシャルメディア上で“sponsored content”または“paid partnership”と明記しています)の公開プロセスは、最初から最後まで共同作業によるものであり、私たちが第三者からのインプットを取り入れていることを意味します。しかしここでもまた、サイト内で掲載する全ての内容に関する最終決定権は、RAのエディトリアルチームが有します。

また、RAは新しいクリエイティヴプロジェクトや既存のコンテンツシリーズにおいてブランドとコラボレーションすることもあり、その場合はサイト上に“in partnership with”又は“supported by”と明記します。その例の1つが、Discogsとのコラボレーションにより展開中のRewindシリーズです。英国アーツカウンシル のような資金提供団体とのパートナーシップもまた、これに該当します。これらの場合、プロジェクトの概要が合意に達した時点で、RAのエディトリアルチームは通常のコンテンツと同様に制作を進めます。つまり、パートナーからのフィードバックは受けず、独自に制作するということです。


ニュース報道

私たちは、公平、性格、そしてタイムリーにニュースをお伝えするよう努めています。私たちはオリジナルの報道を重じており、ニュースを掲載する際は必要に応じて原文を引用したり、新たな情報を追います。

私たちのニュースの多くは新作リリースやイベントに関するものです。しかし時には、エレクトロニックミュージックコミュニティの中で起こっている、あるいはコミュニティと交差している、より重大で、複雑な問題をお伝えすることもあります。このような記事を掲載する際、私たちは常に速さよりも正確さと公平性を優先しており、例えばできるだけ多くの情報の裏付けをとったり、ニュース記事の主体となる人物に回答する機会を提供したりします。

掲載時には得られなかった回答や背景を追記し、ニュース記事を更新することもしばしばあります。この場合は、記事を更新したという注意書きをニュース内に明記します。



人種的平等の推進

Resident AdvisorはBlack Lives Matterムーヴメントを支持します。私たちは媒体として、非白人のアーティストを改めて中心に据え、私たち自身が長年行ってきたダンスミュージックにおけるホワイトウォッシングに立ち向かうことをミッションの1つに掲げました。これは、誰を、何を紹介するかという私たちの日々の意思決定における指針となるものです。人種的平等を推進するための私たちのコミットメントに関する詳細は、こちらのRAのエディターからのアップデートをご参照ください。


説明責任

私たちが過去に本ガイドラインに沿った行動を取っていなかった実例があると、私たちは認識しています。ここに概説したことは私たちが長年掲げてきた理念ですが、時代の変化と共に、必要に応じて調整し、改善してきました。これは今もこれからも継続的なプロセスであり、読者の皆さんの参加も心からお待ちしております。

RAのエディトリアルインテグリティに関するお問い合わせはメールにてお問い合わせください。出来る限り、回答させていただきます。また、本ガイドラインの改善やより良い実践方法についてのご意見もお待ちしております。
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