正直言って、 The Analogue Copsが存在しているものとは思わなかった。他の人がどうやって音楽を作るのか、あれほどまで好奇心むき出しに知りたがる人はいるだろうか？ベルリンに住む、あの二人のイタリア人にそんな権利がなんであるのか？

「最悪なレコードについてのフォーラムに色々とコメントしたことがあるんだ。どのフォーラムかは忘れてしまったけどね。」と回想してくれたのはレーベルResortationの片腕でもあるMarieuだ。「僕たちは、『このレコードは好きじゃない。デジタル音まるだしで本当に安っぽい』って書いたんだ。そしたら『お前、自分を誰だと思ってるんだ。The Analogue Cops（アナログ保護のための取り締まり警察）か？』って言ってきたやつがいたよ」

言葉を変えていえば、彼等はユーモアに富んだ人達なのかもしれない。まぁ、少しだけ。

「自分が好きな事をやれば良いと思ってる。けど、僕が友達とクラブに行く時、Traktorを使ったDJなんか聴くと狂いそうになるよ。あの、『ピーピー』っていうデジタル音ね。すぐにクラブから出ちゃうんだ（笑）。」と言って笑いだすMarieu。彼の言っている事を理解できないこともない。最近では多くのDJそしてプロデューサーが、知らないのか、見つけるのが面倒くさいのか、デジタルとアナログの音を聴き分けられないようだ。複雑になってきたこの時代、より重要な事は、違いを知ることと、どうやって２つを利用するかだ。

Marieuと、RestorationでのパートナーでもあるDomenicoは、疑わしい教育者だ。Alex Piconeと同じ街でクラブカルチャーを体験し始めた。Cadenzaのアーティストは、DomenicoにDJの仕方まで教えたのだ。その当時、ボーカル入りのハウスミュージックがシーンを独占していた。「あの類いのハウスは本当に人気で、Masters at WorkやKenny Dopeなんかは何処にいても流れていたね。」と当時の事を思い出しながらDominicoは語ってくれた。しかし、彼らの興味の矛先は、よりハードなテクノにあったようだ。そう、別々にではあるが、バルセロナへ引っ越した後でもJeff Millsの繰り広げるセットは忘れなかったようだ。「彼が招待されると、僕たちも必ず行ったよ。」

それにも関わらず、スペインの音楽シーンは閉ざされたものだった。地元のレジデントたちだけで占領されたギグ、毎週末流れる音楽はどれも同じようなものだった。「Derrick May、Carl Craig、Jeff Millsは来る。でも新しいものは一切入ってこないんだ。評判が落ちたら困るって思っていたんだろうね。」とMarieu。「Domenicoは既にベルリンに移ったんだ。当時の彼女がベルリンに住んでいたから、お金を貯めてベルリンで仕事を探すことにしたんだ。で、Domenicoにこう言ったんだ。『ベルリンに僕が引っ越してきたら、
レーベルをやるぞ』ってね。」

彼等のレーベルからの第一弾リリースは、彼ら同様アナログ好きのトリオEduardo De La Calleの「First Mission EP」だった。彼らのお気に入り、Jeff Millsの影響を強く感じさせるテクノ感たっぷりの12インチで、現在多くの人が持つレーベルのイメージとはかけ離れたものだった。「BPM156と、とっても早いテンポの曲だったよ」とMarieu。 Suburban KnightことJames Penningtonそして Alan Oldham が一番初めにこのレコードをかけたという。驚く事にハウス系DJ、Tama Sumoもまたレーベル初期からのサポーターだ。

「一番始めに出たレコードはとても良かったんだけれど、二番目のものは、早すぎるっていう意見をもらったんだ。だから、セールスに出すのは、とても大変だったよ。」とMarieuは語る。「それで、こう思ったんだ。『ちょっと自分たちのスタイルを変えるべきなんじゃないか』ってね。それでハウス音楽に手を出し始めたんだ、もっとゆっくりで、僕たちの音ではないんだけれど、そう、もっとゆっくりなものだよ。問題はbpmが早いことだよ。早いテクノサウンドは、もう流行遅れになっていたんだ。僕たちのサウンドはコンプレッションなしで作り上げられているから、初めて聴いた人が音に慣れるまで時間がかかるんだろうね。DJやリスナーは、『やけに静かだわ』って思うかも。」

「アナログミュージックを作るだろ?」とDomenicoが会話を始める「皆それをコンプレッションしてしまうんだ。スタジオにいってマスタリング作業を行う。エンジニアにコンプレッションをしないでくれと言わないと、他の人の音と同様にコンプレッションされてしまうんだよ。」アナログに拘る彼らだが、ここに至るまでには少しながらプロセスがあったようだ。レーベルからリリースされた最初6枚のレコードは、アウトボードだけがアナログでPro Toolsが使われていた。しかし、その後ハードウェアーシーケンサーが購入され、全ての機材がアナログのためのものに準備されたのだ。

多くの人にとって、プロセスよりも結果が大切だろう。生々しく、連続的な、LucretioとMarieuがここ数年かけてRestorationで作り上げた12インチのリリースは、レコードやDJ機材を愛するDJたちの目に止まった。彼等が好むようなダンスフロアーの為の曲のホームは、あまり多くはない。しかし、こういったものに Berghain/Panorama Bar好きの人の注目を得たのだ。Steffiは、Third Sideというプロジェクトのコラボレーターとしてベルリンにやってきた。「作業をするとき、構造を考えないようにしているよ。ただ、彼女（Steffi）との作業は、もっと構造的な面を考えるけれどね。」とMarieuが説明してくれた。「彼女は僕たちよりもDJをしているから、曲を長く、短くしろっていうアドバイスをそのまま形にするよ。僕たちよりもそこらへんのセンスは持っているからね。」先日彼らは、Panorama BarのレジデントDJである nd_baumeckerとタグを組み、レーベルからEPをリリースしている。

先日のリリースパーティーでは、baumeckerとSteffiにはブースでの経験が彼らよりもある事が伺えた。彼らが作り出すようなDJらしいグルーブを見つけるのは難しい、というMarieu。しかしそれは、DJとしての経験の長さから来るものであろう。そう、このデュオは、DJとしてブッキングされる事が滅多にないのだ。むしろAnalogue Copsとしてのライブは、人気絶頂だ。それも、毎回異なったユニークなパフォーマンスが理由だ。「いつも同じだとつまらないから、毎回新しい事をやるようにしているんだ。」とMarieuは言う。「ライブセットだと、色々なバリエーションを添えることができるけど、ベースは変わらないわけだ。だから、その夜と自分のムードが合わない時もあるよ。」

DomeniceとMaeiruはDJが好きなだけでなく、前述した彼等の文句にも関わらず、ライブ演奏も好きなのだ。しかしとりわけ好きな事といったら、音楽を作る事。最近では Lucretioによる Machines Stateと、Marieuによる Enlightened Waxという別々のレーベルも始めてしまった。新しいレーベルをそれぞれ発足させたのは、完成したものをすぐ世界に発信するためだ。しかし、注目を多く集めているのにも関わらず、レーベルのファンでもあるHessleAudioのBen UFOとBlawanは、The Analogue Copsとのミュージックコラボレーションも行っている。お金の為のプロジェクトというわけではないようだ。Domenicoは、彼等とはレーベル自体での仕事をしたことがないという。Marieuが説明してくれた。「レコードのプレス枚数を少なくした方が良いと思うんだ。そうしないと売れ残って終わってしまうだろう？」ロウファイハウスミュージックというブランドに対する貪欲さは留まることを知らない。彼らの努力の結晶が報われるのも、時間の問題だ。

Restoration Mix

今月のレーベルショーケースはRestorationの裏に潜むデュオThe Analogue Copsがお届け。 Roy Davis Jr., Dwayne Jensen そしてThe Guy On The Couchのような曲同様、彼らのレーベルからのローハウスそしてテクノの間にあるウェーブ　　

Download: RA Label of the Month 1107 Mix: Restoration (右クリックでリンクをダウンロードできます。 )
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Filesize: 114.5 MB
Length: 01:19:31

Track List
Moodymann - I Can't Kick This Feeling When It Hits (Appointment Remix 1) (Decks Reworx)
Creative Swing Alliance - Now (Loving You) (MCDE)
Marieu - Light 1 (Enlightened Wax)
The Analogue Cops - CRC 09 (Restoration)
The Guy On The Couch - Time Stopping (Earth Mothern)
Lucretio - A Mountain (Machines State)
Third Side meets nd_baumecker - Retro Vogue (Restoration)
Roy Davis Jr. - Symphonic Days (Chord 44 Records)
Appointment - A1 on AP-004 (Appointment)
Lucretio - Thinking Right (Restoration)
Lucretio - Loveliness (Competence Dubplates)
Lucretio - Ion Storm (Competence Dubplates)
Third Side meets nd_baumecker - Burning (Restoration)
Marieu - Light 3 (Enlightened Wax)
Soul Providers feat. Michelle Shellers - Rise (Bini & Martini Vocal Mix) (Ocean Traxx)
Lucretio - The Peace (Machines State)
Steffi ft. Virginia - You Own My Mind (The Analogue Cops Remix) (Ostgut Ton)
Dwayne Jensen - I See the Sun Light (Soiree Records)
Appointment - B1 on App-002 (Appointment)
Michael Frosinone - No. 1 (side A) (Unpredictable Records)
Ballistiq Beats - Yardman Riddim (Instrumental) (Keysoundrecordings)