7月はヨーロッパ大陸がお勧めのようだ。今月はイタリア、ドイツ、クロアチア（3か所）、ポーランド、セルビア、スペイン、ベルギーでフェスティバルが開催され、UKではあのフェスティバルが復活する。

10. Dancity
7月6日－7月7日
複数のヴェニュー
フォリーニョ/イタリア

今年7回目を迎えるDancityは「The Trevor Jackson Show」というサブタイトルがつけられてもおかしくない。UKの誇る多才なアーティストJacksonが今回のグラフィックコンセプトを手掛けており、本人はアートワークのエキシビションを開きつつ、土曜日にDJセットを披露する。2日間に渡って開催される今回はMonolake、The Cinematic Orchestra、Morphosis、Vladislav Delay、Ital and Maria Minervaがライブを披露し、Jimmy Edgar、Deetron、I:Cube、JoakimがDJセットを披露する。Dancityは今年から規模を広げており、イタリア中央に位置するフォリーニョの複数のヴェニューで、インスタレーションやエキシビション、ダンスパフォーマンスなどが開催される。

RA pick: I:Cubeのセットが最近のセットよりも狂気を半分程度に抑えてくれれば、かなり面白いものになるだろう。

09. Audioriver
7月27日－7月29日
Beach on the Vistula River
プロック/ポーランド

何世紀もの歴史を誇る人口10万人程度のポーランドの古都プロックに、Audiodriverのようなフェスティバルはいささか不似合いだと思ってしまう人がいても仕方がないだろう。しかし、プロックを良く調べてみると、中世の魅力に溢れた川沿いの町で、ポーランドで最も人気のあるフェスティバルの1つには理想的な場所だということが分かる。今年はRicardo Villalobos、Maceo Plex、Nicolas Jaarが出演するが、それよりもラフなサウンドを求めている人にはTommy Four Seven、Byetone、そしてATOL（Modeselektor、Marcel Dettmann、Shedによるドリームチーム）が控えている。またハウス系が好みの人にはdOP、Ripperton、Alex Piconeがお勧めだ。

RA pick: 昨年のMelt!でのプレイを参考にすれば、ATOLには期待して良いだろう。

08. Love Family Park
7月8日
Mainweisen Hannau
ハーナウ/ドイツ

今年のLove Family Parkはそれほど目新しいアーティストは登場しない。例年通りSven、Ricardo、Loco Diceが登場する。しかし、だからといって汗だくの大量のヨーロッパ人がフランクフルト郊外のMainwiesen Hanauの牧草地への歩みを止めることはないだろう。現在のエレクトロニックミュージックをリードするアーティストが多数登場するこのフェスティバルは、VisionquestのSeth Troxlerが初出演する他、ルーマニアのRaresh、そしてドイツが誇るModeselktorも出演し、朝の10時から12時間に渡ってダンスミュージックが繰り広げられる。

RA pick: a:rpia:rの創設者の1人、Rareshのミニマルセットが午後のハイライトになるだろう。

07. 10 Days Off
7月13日－7月23日
Vooruit
ゲント/ベルギー

10日間に渡って開催される10 Days Offは、音楽とアートの祭典、Ghent Festivitiesの一環として開催される。このフェスティバルの日程は長く、毎日夜11時からスタートするというしっかりとしたスケジュールが組まれているため、短期間でせわしなくスケジュールをこなす必要がなく、ある程度寝る時間も取れるだろう。しかし、前述の通りアートフェスティバルの一環であるため、ダンスと同じウェイトでアートや実験が展開されており、日中に様々なイベントを見て回ることも可能だ。10 Days Offは完全インドア型で、歴史的な建造物Vooruitの中で開催される。元々90年代にテクノのレイブとして始まったフェスティバルだが、それ以降活動範囲を広げており、今や全ジャンルにまたがっている。今年はJohn Talabot、Lindstrom、Richie Hawtin、Africa Hitechなどが出演する。

RA pick: プログレッシブ？ディスコ？ハウス？Lindstromのライブセットは予想不可能な展開になるだろう。

06. Exit
7月12日－7月15日
Petrovaradin Fortress
ノヴィ・サド/セルビア

Exitはその規模に尽きる。セルビアのノヴィ・サドにある500年近くの歴史を誇る巨大なペトロヴァラディン要塞を使用して開催されるExitは、音楽と同様にその周囲も楽しめるフェスティバルで、要塞には隠れ場所や割れ目が数多く存在し、迷ってしまうような奇妙な空間が存在する。様々なサイズと形状の全16ステージは、美しい建築と分厚いレンガの壁に囲まれた音楽ファンの遊び場のようなものだが、周辺の自然美、そして色彩豊かな景観も最高だ。今年のラインアップは例年通りメインストリームの大御所たちで固められており、New Order、Guns N’ Roses、Erykah Badu、Duran Duranなどが出演するが、Hercules & Love Affair、Luciano、Claude Von Strokeのようなダンスミュージック界のビッグネームも出演する。

RA pick: 金曜日のメインステージのNew Orderだろう。何故ならNew Orderだから。

05. Monegros
7月21日
Monegros Desert
ウエスカ/スペイン

砂漠の中央で開催されるため、レイブしている声は誰にも聴こえない。Monegrosが生み出す騒音を考慮すればこのロケーションはラッキーだ。Monegrosはスペイン産の巨大なフェスティバルで、18回目を迎える今年はバルセロナの西200キロに位置するフラガで開催される。約4万人が参加し、5ステージで20時間に渡って砂塵と共にダンスミュージックが鳴り響く。毎年意外なアーティストがヘッドライナーを務めるこのフェスティバルだが、今年はWu-Tang（Method Man、Raekwon、Ghostface Killah、GZA）が4/4ビートのラインアップが並ぶ中でヒップホップを披露する。またThe ProdigyとPaul Kalkbrennerがメインステージに登場する他、ヨーロッパのハウス／テクノのビッグネーム、Adam Beyer、Loco Dice、Luciano、Marco Carola、Richie Hawtinなども出演する。ちなみにRichieはクロージングを担当する予定だ。

RA pick: 若い人達にはWu-Tangがお勧めだ。あとはスペイン人のレイバーも見逃せない。

04. Garden Tisno Festivals
7月4日－7月11日
The Garden Tisno
ティスノ/クロアチア
Garden Festival | Electric Elephant | Suncebeat

今年Garden、Electric Elephant、Sucepeatという3つのフェスティバルは、今まで使っていたThe Garden Petrcaneを離れ、海岸沿いに100キロ移動した新しいロケーション、The Garden Tisnoで開催される。GardenとElectric Elephantは同じ週の別日程で開催されるが、両方を楽しみたい人のために両フェスティバルを組み合わせたチケットが用意されている。ロケーションは変わったが、どのフェスティバルも基本的な部分は変わらず、昼夜を通じてパーティーが開催される。1日２回Algonaughtyという船で沿岸に出ることも可能だ。また当然のことながら、どのフェスティバルを選ぶかは、どの音楽が聴きたいかによって変わってくる。GardenにはNicolas Jaar、Ben UFO、Kenny Dope、Metro Areaが出演し、Electric ElephantにはAndrew Weatherall、Michael Mayer、Optimo、Ivan Smaggheが出演。そしてSuncebeatはDJ Harvey、Motor City Drum Ensemble、Dixon、Kerri Chandlerが出演する。

RA pick: RAは年に１度のGardenでのお楽しみとして、Tiger & Woodsを招聘する。

03. Freerotation
7月6日－7月9日
Baskerville Hall
ヘイオンワイ/ウェールズ

もはやRAでFreerotationを勧めるのは間違っているのかも知れない。過去数年に渡る称賛（特にRAでの）によって、ウェールズの田舎で開催されるこのスペシャルなフェスティバルは、2500人のメンバー限定（実際に販売されるチケットは650枚）のキャパシティが埋まってしまう程の人気を得ている。現在のハイプが少し収束するまでしばらく無視した方が良いのではないだろうかという考えもあるが　そうなると、このディープハウス、テクノ、ベースミュージックが田舎のホテル内の様々な部屋で繰り広げられる、非常にリラックスしたフェスティバルを教えなかったという意味で、我々は自分たちの責務を果たしていないことになるのではないだろうか？　いずれにせよ、もうチケットは随分前に売り切れてしまっているので、皆さんのハートを必要以上に傷つけることはなさそうだ。そう、Freerotationは素晴らしいフェスティバルだ。

RA pick: Octoberだろう。昨年のダークホースだったが、それ以来リリースの快進撃を続けている。間違いなくチェックする価値があるだろう。

02. Melt!
7月13日－7月15日
Ferropolis
グレーフェンハイニヒェン/ドイツ

インディーとエレクトロニックミュージックは、Melt!のような長期に渡って行われているイベントが成功事例を作ってきたこともあり、近年のビッグフェスティバルにおける良きパートナーとして扱われている。ダンスミュージックは1997年の初開催以来、Melt!の中心に位置してきたが、近年はギターとDJがその位置を担っている。今年はBloc Party、Destroyer、The Rapture、The War On Drugs、The Whitest Boy Aliveなどのバンドが出演しつつ、Richie Hawtin、Dixon、Modeselektor、Seth Troxler、Shedなどがエレクトロニックミュージックのアーティストとして出演する。またフェスティバルのゲートの外側にあるサンドピット、人気のSleepless Floorでは、Groove誌とFreude am Tanzenのショーケース、そしてMathias Kaden、John Talabot、Agoria、Motor City Drum Ensembleが出演する。音楽以外の特色については改めて言う必要はないだろうが、Melt!は世界中で行われているフェスティバルの中でも屈指と言えるユニークなロケーションを使用しており、ドイツのグレーフェンハイニヒェン付近にある巨大な野外産業博物館、Ferropolisで開催される。

RA pick: CalobouがMelt!の「クロスオーバー」なコンセプトを体現してくれるだろう。

01. Bloc
7月6日－7月7日
London Pleasure Gardens
ロンドン/UK

人気を博していたフェスティバルBlocがその形状を変えると発表してから時間が経ち、異議を唱えていた声は徐々に期待する声へと変わっていった。新生Blocは、今年３月にMineheadにあるButlin’s Holday Parkで開催される予定だったが、日程が7月に変更され、Glastonburyで有名なShangri-La、そしてMutate Britainによってデザインされたヴィクトリア調のドックランド、6000平方メートルの規模を誇るLondon Pleasure Gardenで開催されることになった。メインステージはコンテナに囲まれた「巨大なモノリスのようなホール」で、セカンドステージThe Hubは、音響調整がしっかりと施され、中央にDJブースが組まれたジオデシックドーム（RAがホストを務める）となっている。また、全長80メートルのドイツ漁船MS Stubnitzがドックに接舷され、その内部には2フロアが設置される。そして当然のことながら、このヴェニューの素晴らしさに負けない強烈なラインアップが用意されており、Orbital、Richie Hawtin、Flying Lotus、Amon Tobin、A.T.O.L.、Ricardo Villalobosなどが出演する予定になっている。

RA pick: 金曜日のRAステージは、ミニマルミュージックのパイオニア、Steve Reichがヘッドライナーを務める。