世界的にアナログ・レコードの売上が巻き返しているという話を少し前からよく耳にするようになった。海外のメディアでは、レコードの販売数の劇的な上昇を示したグラフが頻繁に公開されており、レコード・ストア・デイには年々多くの新作やリイシューが発売され、一部のDJやレコード愛好家でなくても気軽にレコードにお金を出す層が増えてきているという印象を受けるようになった。しかし、日本国内ではどうなのだろうか？2014年の8月には、HMVが渋谷にレコード・ショップをオープンし、多くの人々を驚かせた。2014年の年末には、数年前に廃刊となったディガーの愛読本『レコード+CDマップ』がカムバックを果たしており、日本でもレコードへの関心は着実に高まっているように見受けられる。

とはいえ、日本のレコード市場がかつての盛り上がりを見せていないのは明白だ。レコード文化の全盛期であったと言える90年代から2000年代前半を見てみると、当時、東京では渋谷や新宿といった街にレコード・ショップが多数建ち並び、特に渋谷宇田川エリアは「レコード・ショップの聖地」と呼ばれ、各地からレコード好きが足繁く通っていた。しかし2000年代半ばごろからレコード・ショップは次々と店を畳み始め、2000年代の終わりまでには、個性豊かなレコード・ショップたちの多くが居酒屋やカフェへと姿を変えていた。さて、現在の日本のレコード・ビジネスはいかなる状態にあるのだろうか？その答えを探るべく、東京のレコードショップ4店舗のスタッフに集まって頂き、RAの対談シリーズRoundtableを敢行した。

今回招聘したのは、新品・中古を幅広く取り扱い、関東圏に約40店舗を構えるdiskunionの渋谷クラブミュージックショップの原毅と、クラブミュージックを幅広く揃えた渋谷のTechniqueの佐藤吉春、クラブミュージックのみならずポップミュージックのレコードも豊富に取り揃えるJET SET下北沢店の中村義響、そしてハウスやディスコなどを中心に扱う渋谷のLighthouse Recordsの森広康晴の4名。日々レコード市場の動向を追っている彼らの目には、現状がどのように映っているのか。また、今後この文化を廃らせないためにどういったことに取り組んでいるのか。レコード・ビジネスの現在、そして未来を語り明かしてもらった。

Nakamura, Jet set / Morihiro, Lighthouse / Sato, Technique / Hara, diskunion

日本において、レコード文化が盛り上がっていたと言えるのは、いつ頃だったと思いますか？

佐藤：90年代後半から2000年代初頭ぐらいまでじゃないですかね。96、97年ぐらいにレコードを買い始めたんですけど、その頃テクノが盛り上がっていたんです。僕はテクノから入ってるのでテクノ中心になってしまうのですけど、Sony Technoという企画が行われていたり、メジャーでもテクノのCDが出ていたりしたんで、それに従ってレコード屋さんもどんどん出来てました。落ち着いてきたのは、新しいメディアとしてデジタルが出てきた頃ですかね。レコードだけでなくCDやパソコンなどDJツールの選択肢が増えたので、その影響を受けたという感じです。

中村：2000年代後半はアナログ・レコードのマーケット全体が右肩下がりでどこも厳しかった時期だと思うんですけど、それも2010年頃を境に下げ止まっている実感はあります。JET SETでも、ニューディスコの隆盛期ならハウスとか、チルウェイヴ以降は一連のUSインディものだとか、ここ数年だと自社で制作している国内アーティストのアナログとか、その時々で以前よりもセールスを伸ばせるジャンルが出てきて。現状にあまりネガティブな感想は持っていないんですよ。むしろ今はレコード文化の衰退ではなくて、円安がキツいですよね。とくにダンス・ミュージックみたいな12インチ・カルチャーのジャンルは売り辛くなったなと感じています。

佐藤：1枚1500円越えて来るとなかなか難しいですよね。レコードをはじめ音楽メディアってやっぱりユースカルチャーの部分が大きいので、若者のひとたちが買ってナンボだと思うんですけど、円安のせいで値段が上がると、買いたくても買えないという状況になっていって。2年ぐらい前までは下げ止まったって印象でしたけど、円安と同時にまたお客さんが買いにくい状況にはなったと思います。

原：あと、アーティストのほうも枚数がはけないので、単価を上げてきてるんですよね。全盛期の90年代後半ぐらいは1000円ぐらいで12インチ1枚買えたんですよ。それが1500円になり、高いのだと2000円になったり。買うほうとしては買い辛い状況にはありますよね。根強いファンはずっといると思うので、そこまで悲観的に捉えていないですが、これに加え今の円安で今後打撃を受けるなとは思いますね。今、アルバムで5000円とかありますからね。高いですよね。

佐藤：そうですよね。Theo Parrishとか。

中村：その価格帯になると、バイヤーも数字を入れるときに躊躇しちゃいますよね。

佐藤：こないだドイツのディストリビューターの方が来て、話をきいたんですけど、ドイツでは返品制度があるんで、レコ屋は売れる分だけ売って、余った分は返せるらしいんですよ。ドイツでは法律で決まってるみたいです、返品を受付なくてはいけないと。そのディストリビューターが言うには、300枚オーダーが入っても300枚全部送らないらしいんです。150枚帰って来る可能性があるんで、100枚、150枚などを送って、返品がないように調整しないと駄目らしくて。日本のレコ屋みたいに、精密に数字を入れるのとは違って楽だなと思いましたね。やはりどうしても在庫は抱えてしまうので。

中村：日本のレコード屋って商売としてなかなか酷くって、3枚売っても在庫1枚残ったら儲けが出ないですからね。その制度は羨ましいですね。

他に、今レコード店を運営する上で難しいと感じることはありますか？

佐藤：最近はWEB通販にシフトしている人が多いので、お店を構える意味をきちんと考えて今後やっていかないといけないと思いますね。今うちだとWEB通販で商品を取り置いて、取りに来るためだけにお店に来る人も少なからずいるんですが、お店用の試聴盤とか全部揃えてやっていると、試聴盤がもう昔ほど活躍し無くなってきてリスクになってくるんですよね。現物を聴いた上で買いたいってお客様もまだまだいるので、その辺のニーズには答えているんですけど。実店舗にとって、自分らのサイトが商売敵になっているような状況もあります。WEB通販で買ってもらうほどお店に来る人は減っているので、その葛藤がありますね。

現在、通販と店舗での売上の割合はどのくらいなのですか？

佐藤：Techniqueは通販のほうが多くなってきてます。

中村：JET SETも通販ですね。ウェブのインフラは早い段階から力を入れてやってきた介もあって、圧倒的にオンライン・ショップです。

店舗を構えていることの目的、理由とは何でしょう？

中村：前提としてあるのは、自分たちが育ってきたレコード・カルチャーへの意地というか。レコード屋に行ってレコードを買うという文化で育ってきたスタッフが多いので、そこに愛着がある部分はありますね。でももっと実利的な視点からいうと、実店舗がなくなるとカルチャーとしての発信力も求心力も弱くなることが明白だからですね。お客様はもちろんですけど、お店に来てくれるアーティストやDJと対面で築き上げられるものってすごくいっぱいあるので、その場所がなくなると、自分たちのブランドも弱くなる。そこまで勘定してみると、リスクではあるけれども費用対効果で元が取れているのかなと。

森広：Lighthouseに関しては、オープン当初からずっとお店の方が売り上げが高い状態をキープしてます。わざわざ足を運んでもらうからには、何かしら喜んで帰ってもらいたいという意識がオープン前からあったので、試聴機は4台用意して、長居できるようにソファーや喫煙スペースも用意したりとか。あと、接客も重視してきたポイントですね。店舗があると、レコードだけじゃなくていろんな人や情報が集まってくるので、新しい広がりとか繋がりも作れたりしますし、いろんな可能性を秘めた空間として実店舗の存在価値があると思ってます。

中村：凄いですね！店舗のほうが高いって。

森広：店舗があるのとないのでは、働いている僕ら自身のモチベーションが変わってきそうな感じもしますね。あと、ダイレクトにお客さんの顔が見えるのもメリットだと思います。例えば、2008年のオープン当初は20代後半から30代が中心だったんですけど、ここ数年の間に当時の常連だったお客さんが少しずつ減ってきた分、それとは別に新しいお客さんが付いてくれていて、最近は10代のお客さんとか学生の方も居る状況になってきたんですよね。少しずつ世代交代が進んでいるというか。通販だとそのあたりはなかなか見えずらいですからね。

原：当店の場合は中古商品をたくさん扱っているので、皆さんとは事情がちょっと違うと思います。ところで皆さんはどのくらい中古を扱っていますか？

佐藤：お店だと、うちの場合は半々ですかね。売上でいうと新品のほうが上ですね。

中村：JET SETも下北沢店はスペースが限られているので、中古は少量しか扱っていないですね。下北沢は中古レコード屋さんが比較的たくさんある街なので、そこは役割分担してもよいのかなと。京都の本店では中古も大きく展開しています。

森広：うちも店舗だけですが中古はあります。売上は新譜7対中古3ぐらいの割合ですかね。

原：diskunionの場合は売上の半分以上が中古なんです。それがあるから実店舗の運営がしやすいと言えますかね。なので、新品だけだと本当に大変だと思います。新品だけで続けてらっしゃるお店は相当努力しているのだと思いますね。通販もやっていますけど、店舗の売上のほうが断然上ですね。いかに中古をどんどん仕入れて、毎日じゃんじゃん出していくか、ということをメインにやってます。それにお客様がついきてくれているといった状況ですね。継続的に、ほぼ毎日来られる方もいらっしゃいます。

佐藤：休憩中に行きますもん、僕も。（笑）

原：レコ屋の方はいっぱい見かけますね。うちの従業員もよくTechniqueさんのほうに行ったり。

中村：レコ屋の仕事の休憩中にレコ屋に行くっていう。ほとんど病気ですよね。

森広：下手したら自分の店よりdiskunionさんで払った金額のほうが大きいですからね。（笑）

原：ありがとうございます。

佐藤：ところで皆さんに聞きたいことがあるんですけど、海外のお客さん最近増えてません？

原：増えてますね。

中村：オーストラリアの方が多いですよね。

それは通信販売ですか？

佐藤：いや、店舗です。

それは何故なのでしょう？

中村：ひとつの要因は円安ですね。さっきの逆ですよね。あと世界的に見たら、日本はリアルショップが、まだしっかり残っているほうなんだと思うんですよ。

原：だから海外から来てるレコードを、海外の人が日本で買ってまた向こうに持って帰るってことが起きてるんですよ。それをまたこっちが買い付けに行って持ってくるっていう。

佐藤：あとオーストラリアはやはり、Junoとかで買うと距離的に送料が高いんですよね。なので良く「送ってくれ」と言われますね。ただ中古に関して言えば、日本はやっぱりまだ安いですからね。Discogsとかを見るとエライ高いやつが日本では安く手に入る所が多いんで。90年代にあれだけレコードが栄えて、ユーズド・レコード・ショップ街が繁栄したんで、その遺産がまだ日本には結構あるというか。日本の人には売れないのに、海外の人には売れるレコードとかありますね。

中村：ところで森広さんはさきほど、若い人が増えてるっておっしゃってたじゃないですか？最初のほうから若い人はいました？

森広：2008年にオープンしたときはほぼいなかったですね。

中村：JET SETでも同じ状況でした。かなり急激に若者がいなくなった時期ありましたよね。90年代のレコード・カルチャー世代の生き残っている人たちが買い続けていて、その後の世代がぜんぜん続いていないという。

佐藤：今は凄く若い人がいて、真ん中がいないっていう印象ですよね。

森広：ここ2、3年ぐらいで若い人が増えたかなっていう感じですね。

佐藤：デジタルから入ってる若い人は、逆にアナログを新しいメディアとして捉えていますよね。

中村：だからアナログを使うということに対する意識が高いですよね。僕らの世代以上にレコードというフォーマットそのものにプライオリティを置いているというか。

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現在のレコード・ビジネスの中で、エレクトロニック・ミュージックの現状をどう捉えていますか？

中村：ハウスはアナログ・レコードと相性が良いというか、信仰心が厚いというか、お客さんが離れている感じはそんなにしないです。ただ例えばそれがベース・ミュージックとか別のカテゴリーになると、従来みたいにDJツール的な消費のされかたは少ないのかな。純粋にリスニングのために買っている、もしくは音楽に付随するカルチャーを楽しむためとか、道具というより作品として所有したいから買っている感じですね。現場でもベース系のDJでレコードを使ってる人はあまりいないんじゃないかな。

佐藤：日本はほんとベース・ミュージックとかあの辺が弱いというか、育たないですよね。海外のリリース情報とか見るとかなりあるんですけどね。日本ではなかなか買う人がいなくて。

中村：ここ何年かでベース・ミュージックってキーワードはトレンドになったし、現場でプレイしている人は増えているけど、そこはもうヴァイナルのカルチャーとは関係ないんですよね。Diploあたりまでは、そういうトレンドのダンス・ミュージックのシーンとレコード屋って親和性が高かったけど、今はあんまり関係ないというか。EDM以降は、決定的に乖離したかもですね。

原：クラブに行く子と、レコードを買う子は違うと思うんですよね。両方やってる人があまりいない気がします。diskunionの渋谷クラブミュージックショップではヒップホップのほうがメインになってるんですけど、テクノなどの新品はやっぱり厳しいです。全て視聴できるようにしてるんですが、売上がついてこないですね。ヒップホップのほうがまだ、アナログにこだわっている人がいる印象です。

Lighthouse Recordsではどういったレコードが最近売れていますか？

森広：チルアウト/アンビエント/ニューエイジあたりの、ゆったりとしたリスニング向きのアルバムが以前より売れている印象はありますね。DJとしてのツールに限定せず、一人のリスナーとしてレコードを買ったり楽しんだりする人たちが少なからず存在しているんだと思います。

Techniqueではどうですか？

佐藤：やっぱりツールとして買う人は減ってる気がします。というのは、今ツールにしては少し高いんですよね。昔は買って、使っては売って、というサイクルで成り立っていた部分があっんですけど、今では持っておきたいから買うという買い方が多くなってきて、売れるものも昔と少し変わってきてますね。なので、フロアでも機能して、リスニングとして家でも聴けるような、わりと多様性のある音楽が売れ筋になってきてるというか。あとDJによっては、「12"に収録されてる4曲中、1曲だけ欲しい」とか「ちょっと繋ぎに欲しいな」みたいなの曲はデジタルで買ってしまって、「これだ！」っていう決めの曲はバイナルで持ってるとか、そういう使い分けもありますね。

世界的にアナログの売上枚数が上がっているという話を最近よく聞くようになりましたが、実感としてはどうですか？

中村：北米でセールスが伸びてるいのはポップスのカテゴリーですよね。レコード・ストア・デイにぶつける形で有名アーティストの発掘音源や限定盤が出たりとか。ダンス・ミュージックだけを見ると、またちょっと事情が違うかもしれないですね。

佐藤：昔の定番のロックのアルバムなどがたくさんリイシューされていますね。そこが充実してるのかなって感じます。

クラブ・ミュージックのアナログの売上が上がっているわけではないんですね？

佐藤: 特に増えてはいないです。

中村：JET SETもハウスやテクノのジャンルは横這いか、円安なんかの要因で少し下がっている状態なんですが、ドメスティックなポップスの売り上げは伸びていますね。数年のタイムラグはありますが、海外と事情は一緒なのかなと。それこそ、きゃりーぱみゅぱみゅのピクチャー盤アナログとか出ると、普段レコード屋さんに馴染みのない人たちもたくさん巻き込める。アナログ盤ならではのアイテム感というか、モノとしての付加価値を追求する方向。ポップ・ミュージックはそこの仕掛けが作りやすいですよね。

ところで皆さんは、DJを最近やられてますか？

中村：昔は結構やってましたけど、最近は控えてますね。

原：まぁちょいちょいはやってますけど。

佐藤：忙しくて中々出来ませんね。

中村：1タイトル50枚、100枚売れていたのが10枚しか売れなくなったら、単純に5倍なり10倍のタイトル数を扱わないと売りあげ維持できないわけですから、それは忙しいですよね。

森広：それで言うと、最近ビッグヒットって少ないですよね。

中村：確かに、全員買うみたいなのがあんまないですね。

森広：Todd Terjeの"Inspector Norse"って色々な人が買ってたじゃないですか？Move Dとかも買ってたし。あういうクラスのヒット曲ってもうちょっとあっても良いんじゃないかなって思いますね。カンフル剤というか。

中村：昔はみんなレコ屋で同じタイミングで買っていたじゃないですか？だからどこのクラブに行ってもピークタイムにかかるアンセムは一緒で、たぶん共感できたし盛り上がってたわけなんだけど、今だとデータとヴァイナルでリリースのタイミングも違うし、あとジャンルもさらに細分化してきているし…。

佐藤：あと今デジタルとバイナルの乖離が大きくないですか？凄い差別化が進んでるというか、全く別ものという感じがあって。バイナルの人はバイナルでしか出さないとか。年々離れて行ってる気がします。

中村：最近だとビッグヒットって何ですかね？

原：Flying Lotusとか、Aphex Twinとかですかね。

森広：Moodymannとかは話題になりましたけど、限定ですぐに売り切れちゃいましたからビッグヒットとはいえないですかね...。

中村：売り続けられないというね。

森広：売る側としてはストレス溜まりますよね。凄く良い内容のアルバムなのに、仕入れ値は高いし、限定プレスでオーダー枚数通り入ってこないし…。あれもっとガツガツ売りたかったって皆思ったんじゃないですか？売る側としては消化不良でしたよね。

中村：レコード・カルチャーとしては、枚数を限定してレア感を保つのは戦略としてはありだと思うけれども、目先の商売としては辛いところもありますよね。

では、今後の話をしましょう。レコード・ビジネスは今後どうなっていくと思いますか？また、レコード文化を盛り上げていくために、今後どうするべきだと考えていますか？

森広：今は円安や増税の影響もあって輸入レコードの販売は商売的に過酷な時期ではありますけど、これ以上市場が縮小することはないような気はしてます。若いお客さんや新しい層が増えている現状をポジティヴに捉えたいところですね。レコードはDJだけのものではないですし、それぞれのライフスタイルの中にレコード鑑賞が根付いていってくれるといいですね。

中村：僕もあまりネガティブに捉えていなくて、割とフラットなのかなと思っています。アナログというフォーマットを選択してくれる一定層がしっかりいますし。ありがたいことに、今なんとなく「アナログって良いよね」っていう雰囲気は醸造されてますよね。そこで自分の仕事を通して今できることは、とにかく間口を広げる役割かなと。国内アーティストのレコードをたくさん企画して、多くの人にレコードという文化に触れてもらって。レコードをビジネスとして継続していくための土壌を作っていきたいなと。

原：こちらから色々仕掛けていって色々なものを作り出していくことが大事じゃないですかね。今まではすでに出てるものを仕入れて、売って行くのがほとんどだったんですけど、「こういうのが欲しい」、「こういう音がききたい」というのを提案して、それを形にしていくというのをうちでは今やってます。こちらからアーティストにアプローチして、CDのアルバムにしか入っていないような曲を7インチで出すとか。全盛期には忙しくて相手をしてくれなかったようなアーティストが、最近では結構耳を傾けてくれるんですよ。（笑）それをどんどんやっていこうと考えています。あとレコードだけじゃなくて、うちはTシャツだったりとか、関連グッズ、カセット、本なども売ってますし、DJ機材も取り扱ってます。なのでトータル的に音楽をサポートしていこうと思います。

佐藤：うちはアーティストとの距離が近いので、曲のデモがよく届いたりします。それをレコードで出して世界に流通するというのは最近やってます。これまで培った海外のレコード屋とのネットワークを利用して、日本のアーティストと海外のレコード屋とのやりとりのお手伝いをし、海外での流通がスムーズになるようサポートしていきたいと思ってます。