90年代後半、Masumi NishimuraはChu aka Surviva名義の下、ラッパーとして活動を開始した。Inner Scienceはもともと、彼自身のラップを乗せるトラックを作るところから始まったプロジェクトであり、2001年に発表したInner ScienceのEP「Cardamine / Cleared」では自身のラップをフィーチャーしている。同時期にPROGRESSIVE FOrMから中心的に作品を発表していたIndopepsychicsの音楽的変化を実体験として目にした彼は、ラップという言葉を通じた表現から離れ、Inner Scienceとしてサウンドそのものが代弁するような表現を追求するようになった。2004年以降は、サンプリングを基調にしたアンビエントプロジェクトPortralもスタートし、DJ活動と並行してライブパフォーマンスも行うなど、エレクトロニカやアブストラクトヒップホップといったジャンルの垣根を超え、多様なイベントに出演している他、今年発表されたGonnoの最新アルバム『Remember The Life is Beautiful』には、Tracks Boysや(((さらうんど))))として活動するCrystalを交えたコラボレーション作品を提供している。

そんな彼が紡ぎ出すサウンドは、遊び心に満ち、泡立ちながら溢れ出てくるようなこともあれば、透明感のある輝きがプリズム状に拡散していく光景を描くこともある。渓流のせせらぎのように鼓膜を通じて流れ込んでくる独特の柔らかさを伴ったデジタルノイズや、水面にたゆたうように淡く浮かび上がる揺らぎなど、挙げればキリが無いほど饒舌な表現がそこにはある。彼の音楽は生活の中に存在する様々な場面に向けて制作されている。そうした場面それぞれに流れている空気やグルーヴのようなものを掴み、そこに寄り添うサウンドをデザインするInner Scienceのアプローチは、Danny Masao Winstonが「音楽がその場にどういった彩りを与えるか、そしていかに人の人生を豊かにするか、といった点に重きを置いている」と表現したDJ Kenseiの空間／環境に対する音楽的視点に通ずるものだ。アンビエントは音響や環境特性を高めることを意図する、と語ったのはBrian Enoだが、Nishimuraはそうしたアンビエント的視点を拡張しながら、一般的なアンビエントのイメージに必ずしも収まることのない音楽を生み出している。そのひとつが今年9月に発表された『Here』だ。彼にとってアルバムとは、自身の成長を記録するための、まさに「アルバム」である。今回の『Here』にはどのような成長が刻まれているのだろうか。スカイプで彼にインタビューを試みた。

Inner Science

『Here』を聞かせてもらって、最後まで聞き入ってしまいました。今までよりも音像がハッキリしていたような気がして、特にパッドシンセが入ってくるところとか、レンジが広いって思ったんですよ。それは自分でも意識したところでしたか？

結構、自分の前のアルバムをリファレンスにすることが多いというか。前作のオリジナルアルバム『Self Figment』（2014年発表）では輪郭が丸い音像をひとつの形にできたので、そこから、ちょっとずつ輪郭やアタック感を出していくことで、朧げな音とハッキリした音をコントロールできるようになったらさらに面白いかなぁ、っていうのが今回『Here』を制作する上であったんですよね。アタック感の強さで、色々、キャッチーになったり、ダンサブルになったりするなぁと思っていて、『Self Figment』では、なるべく既存のアタック感ではないものにしようと意識して、結果的にああいった音になったと思います。だから、最近アタック感を出していなかったから、『Here』では、アタック感ってどんな感じだったっけなってところから始めました。

発展形というか、前作をもとにして、そこからどう派生しているか、ということでしょうか？

そうです。基本的にはずっとそうやってアルバムを作り続けていて。

作品作りは自分の成長の記録を刻むためにやっていると以前に言っていましたが、今言ったことは、この考えにしっくりハマりますね。

まぁ成長というか変化というか。これまでは、前のアルバムで上手くハマッたなと自分で思ったところを伸ばしていくっていう方向だったんですけど、『Self Figment』では、それがある種完成した感じがしたんです。なので今回は敢えてそれはいいから、それ以外のアプローチを、っていう感じでしたね。そうやって自分で思ったり考えたりしていることを、真正面から見たり、裏側から見たり、斜めから見たり、ひっくり返したり、そんなのをずっと繰り返す訳なんですが、そんな中で、例えば、ポリリズム的な構造だったり、ベースラインだったり、そのアタック感とかだったり、構造として当たり前とも言えるようなことと、どこまでの距離感でせめぎ合って自分の表現の中に落とし込めるか、っていう事を意識的にも、無意識にも、やっているんだと思います。

だから『Here』を聞いた時に「何かが違うな」とまず感じたのかもしれないです。『Here』の制作をスタートしたのは、いつ頃でしたか？

前のアルバムが終わってすぐだから2014年の年始あたりですかね。最近は次々に制作をしようっていう気持ちがあって、割とテンポよく制作にかかった気がします。単純に作るのが楽しくなってきているんですよね。当たり前なんですけど、作ったり、ライブしたりするのが楽しいんです。

『Here』では、それほどリズムパートを前面に押し出すのではなく、テクスチャーの変化がより活きるミックスになっている印象を受けました。パンニングの動きや使い方も印象に残りました。

それはレコードサンプリングをしなくなった流れから来ているかも。サンプリングのドラムの鳴りに比べると、ドラムマシンの音はもっとレイヤーさせたくなるというか。いい音かどうかの基準として、フロアでしっかりと鳴るってことは当然意識するんですけど、かといって、フロアでゴリゴリに鳴るようにやってくぜって優先するよりも、楽曲の構造の中でドラムがどう活きてくるのかって言うことを考えました。僕は基本的にヘッドフォンで作業するんですよ。ヘッドフォンだとステレオ感って、より気持ちよく分かりやすく出るじゃないですか。それが楽しかったし、前作でも同じヘッドフォンで制作したんですけど、前作とは違う出し方でやってみたら、今回の形に収まったんだと思います。

もともとはヒップホップからキャリアをスタートして、今ではDJでテクノもプレイしていますよね。当時からヒップホップ以外の音楽も聞いていたんでしょうか？　

2000年前後くらいにブレイクビーツ～IDM的なものの流れがあったじゃないですか？　そういうのを遠巻きに見つつ。そもそもラップをやっていたので、インストの音を探している作業の延長でもあったのかな。量としてはあんまり聞けていないんですけど、DJ FoodのアルバムがNinja Tuneのシリーズで出ていたりして、上野にCiscoがあった時、セール中に50円で売っていたんですよ。それで買って家で聞いたら、その当時はよく分からなかったけど、何年かかけて効いてくるみたいな感じで、少しずつ耳にしていたとは思います。でもあの時代のアブストラクトヒップホップや初期のIDMを聞いていた人に比べたら、僕は圧倒的に聞けていないと思います。

先日、Techniqueに提供したチャートを見ても、すごくジャンルの幅が広いと思いました。

やっぱりIndopepsychicsの影響は強いんじゃないですかね。当時聞いていた人たちと共有できるところがあると思うんですけど、IndopepsychicsやKenseiさんの音楽への飽くなき好奇心とその実践を見ていた感じと、それを自然だと思っている感じがリンクしているんだと思います。

Indopepsychicsが活動していた90年代後半から00年代前半というのは、いわゆる、音響とかエレクトロニカっていう言葉がメディアでも登場してきた頃だったと思います。その頃から、聞き方という面で、リリックや楽曲がどうっていうよりも、テクスチャーに焦点を当てるようになってきたと思うんですが、そういった意識は自分の中にもあると思いますか？

うーん。どうなんですかね。インストものを何故、今、作っているのかっていうと、もともとラップをやっていて、自分でラップするためのトラックを作るっていうところからスタートしていて、その後に自分のスキルの無さからラップに対して行き詰まりがあったり、自分の中で風通しが悪くなったりしてきて。インストだと言葉じゃない分、解釈が増えるじゃないですか。そっちの可能性の方に興味を持って、そっちを拡張してきたって感じなので、言語表現よりも音がしゃべっていたり、想像力を膨らませられるくらいのものにしたいという希望があって、そういうところから、テクスチャーだったり、鳴りだったりにこだわりが出ているっていう感覚はあるんですけど。でも時代的な部分で判断できるほど、時代的なことはよく分かっていないですね。ただ、たくさんのショップで大量のレコードが売られていた当時の日本の環境や、Faderなんかの情報量の濃い雑誌もあったし、僕が働いていたクラブで、KenseiさんがDJしてくださっていた時とかは、音響的なアプローチを経由して少しずつハウスのグルーヴのものをプレイし始めていて、それを割と近くで見ていた時期があったんです。Kenseiさんはその時点で持ってくるレコードとかも、Nervousの昔のレコードとかを今だとどういう感じだろうってチョイスしてプレイしたりしていて。あとはK-Bombさんなんかはジャンルに関係なく遊び場に遊びに行く感覚で、色んなダンスミュージックが好きだから、そういう人たちを見てきたっていう影響が結果的には強い気がします。

そのように色んな人たちを見てきて、DJをやっていく中で音源の買い方に変化はありましたか？

きっとあったでしょうね。あとはある時期、2006年とかかな？　その辺りから徐々に、ビートものとかのレコードのリリースが少なくなってきたように感じて。有名無名問わず4つ打ちはたくさん出ていたので、徐々にレコードを追うようにテクノとかハウスとかを聞いたりしていたんですけど、最近、TraktorでDJするようになって、その辺がフラットになってきていて、地続きになった感じがしますね。

それは、レコード屋に並んでいない音源もチェックしたり買ったりするようになったってことですよね。

そうです。それまで自分はレコードでしかプレイできなかったから、必然的に何とかやりくりしていくしかなかったけど、選択肢が増えたっていうのはありますね。今はデジタルのみ、レコードのみってリリースもたくさんありますし。だからネットで聞いたりすることがどうしても増えましたよね。前はあまり有名なものを聞かなかったんですよね。有名なリリースとか、派手なリリースをそんなに熱心に聞かないというか、聞けなかったというか。他の人が聞いて楽しんでいるものはきっといい作品だろう、っていう勝手な判断があって（笑）。もちろん今は試聴もし易いのでそういうものも気軽に聞けるし、そうゆう意味でもフラットになってきたのかもしれないけど、基本的にはそうじゃないものをなるべくかけられたらなぁっていう感じはあります。

Dublabのラジオの時も、いわゆるヒット作的なものではなくて、近い関係の人のトラックなんかもプレイしていましたよね。Numbさん、Gonnoさん、レーベルで言えばAltzmusicaの音源がミックスで一緒に並ぶことってなかなか無いと思います。これだけの幅広さを持って、ひとつのミックスにまとめ上げる作業は大変ではないですか？

多少は大変なんですけど、テクノだったりハウスだったり、レゲエでもヒップホップも、ソウルもなんでも、その筋を掘り下げていくプロフェッショナルな方がいて、そういう方に対する敬意は基本的にずっとあって、それゆえにそうじゃないことをしたいという気持ちもあるし、単純に自分の好きな曲と曲を繋いでいくのが楽しいわけだから、そういうのを発見していくっていうのは楽しみでもありますね。

少し前の話になるんですが、ヨーロッパに長期滞在した時、ヨーロッパに滞在したことで、逆に日本人の持つ折衷性や多様性を意識するようになったって言っていました。その時の気持ちは今も変わっていないでしょうか？

その後、色々思ったんですけど、イギリスとかもそうだし、どの国にも人にも結果的にはそういう要素があるんじゃないかなぁって思ったりもして。ベースミュージックとテクノが混ざっているとか、いろいろあるじゃないですか。それはそれで、それぞれの場所で何かしらがあるので、自分は日本にいるから、だからまぁ、そういうのが普通に出ればいいかなっていうのはあります。

そうした意識が制作にも変化として現れましたか？

改めてっていう訳でもないんですけど、自分なりの音が作れればいいなとはずっと思っています。それは、いろいろな影響をどう消化して自分のものにするのか、っていう意識でもあるかもしれません。「こうしたら、あのアーティストのような音に近くなるな」って、制作していると結構、色々と見えてくるんですけど、色んな音源をちょっとずつ色々聞いている中で、「こうやると、こうなるんだ」っていうのが制作中に分かったら、なるべくそこに近づき過ぎないように、離れるようにするっていう心構えは変わってないと思います。

さっき、クラブで働いていたって言ったのは、どこのクラブですか？

六本木にあったNutsですね。その時はKenseiさんとは面識は無かったんですけど、その後、渋谷に移転した時、Kenseiさんは帯でやってくれていて、僕も最初の半年だけ働かせてもらって、そこで色々学びましたね。特に渋谷の時はKazumaくんとかもいて、京都から毎週来てくれていたっていう。そこで照明のこととかをKazumaくん、Dol-lopくんやKenseiさん、別の日にはHiraguriさんが「こうしよう、ああしよう」って話をしていて、そういうところまで意識を持ってパーティーを作っているんだなってことが記憶に残っていますね。

そういったクラブやライブハウスなど、いわゆる会場で一番興奮したことっていうのは何でしたか？

どうですかねー。どうしても自分が出演した時のことになると思うんですけどね。だから一番っていうのは選びかねますね。現場ではないけど興奮という意味では、自分で制作している時にもたくさんあると思いますね。「何だこれ！　これいいんじゃない」とかって。簡単に言うとフレッシュな感じっていうか、新鮮な切り口で形になった時に興奮するんだと思いますね。あと「ソフトウェアをずっと使っているけど、こういう使い方はしていなかったな」っていうのもありますね。そして、それが自分の感覚が投影できているものであったり、マッチしていたりするものであった時に、すごい、ひとりで盛り上がりますね（笑）。「これ、いいような気がするなー」って。オタクですね。

そうしてできた音は、こういう音で踊りたいっていう音の時もありますか？

あります、あります。今回のアルバムに関して言えば、1枚の流れの中でどうやって聞かせるかっていうのを考えてやっていたので、グルーヴ的にはダンスミュージックっぽくても、曲がすごく短かったり、あまりDJプレイに向いていないような尺の曲だったりするんですが、とにかく1枚通して聞けるような世界観にしたんです。でも同時に、フロアでライブする時に必要なものってそれぞれ場面によって違うじゃないですか。そういう時に必要な要素をもっと欲しいなとか、そういう感じに思うことはありますね。

逆に踊るという感覚以外の基準で目指す音っていうのはどういうものなんでしょうか？

自分のウェブサイトでアンビエント作『My Little Ambient Melodies』を発表しているんですけど、流しておきたいというか、空間に音があったらいいけど、あんまりうるさいのは嫌だなって時とかに聞きたい音ですね。あと、これは多分一番難しいんじゃないかと思うんですけど、小説や漫画を読む時間のようにとか、ドラマや映画を見る時間のように、そこに集中してその世界観を楽しみたい、楽しんでもらいたいっていう時間があって、自分なりにそうゆう気持ちが集まったのが『Here』なんです。あくまで自分の中での話ですけどね。それと同時にフロアでかけたいとか聞きたいっていう意識もあって。生きている時間って色々あるじゃないですか。それぞれの時間で聞きたい音をひとつずつ作っている感じかな。そう考えると、とてもやり尽くすことなんて出来ないですね（笑）

Inner Scienceの作品をリスナーが聞いてどのように思うかは、リスナーの人が思うままに自由に感じてほしい、と常々言ってきていますが、『My Little Ambient Melodies』をリリースした時、告知に「無音では少しだけ物足りないようなときに小さい音で楽しめるような、いろいろな季節の空気にそっと混ざるような、淡く静謐な作品に仕上げることができたように思います」と聞き方にまで具体的に触れていて、それまではそういった情報は書かれていなかったので、意外だな、と思いました。

僕は今、色んなリリースが増えてきているから、入り口としてせめて自分の感想くらいは書こうかなと。あとは『Here』の制作と、12月に出るサウンドコラージュの続編が同時に進んでいたんです。それで、自分の脳みそが大変な時に、デモ状態の『My Little Ambient Melodies』を聞いていて、それがすごく息抜きになったというか、脳みそをフラットにする時に聞くようなもので助かったので、その気持ちをシェアする思いで僕のポエムを添えたんでしょうね（笑）

何度も『My Little Ambient Melodies』を聞かせてもらっています。ただ、「無音では少しだけ物足りないようなとき」ではなくて、イヤホンで大音量にして聞いているんですけど（笑）

そうやって好きに聞いてもらうのが一番ですよ。コメントやこうやって話させてもらっていることなんかが、せめてその入り口になればというところですね。

Inner Science

何でこんなにも聞いちゃうんだろうっていうのを今回のインタビューをするにあたって考えたんです。それで、テクスチャーの変化の豊かさがその要因なのかなと思いました。ボ－カルだったら歌って意識を引き付けるとかできると思うんですが、言葉ではない部分での表現の豊かさっていうところが『My Little Ambient Melodies』では際立っていると思いました。それで今回の『Here』を聞いて、同じく豊かさを感じたんですけど、『Here』ではテクスチャーの豊かさの表現方法が変わったと思いました。このあたりのことは意識しましたか？

そうなんですよ。さっき言ったアタック感とかによって、より表現の幅が広がっていると思います。逆に『My Little Ambient Melodies』の方は引き算で、引いて引いて残った要素でギリギリ成り立っています。結果的に『Here』も『My Little Ambient Melodies』も多弁なものにはなっていると思いますけど、ふたつは同類の中の別系統というか。そんな印象です。

先日リリースされたGonnoさんのアルバムで、Crystalさんも交えた3人の共作が1曲収録されていますが、このコラボレーションはどのようにして始まったんでしょうか？

UnitでThe Field来日公演があった時、この3人をDJでブッキングしていただいたことがあって、そのパーティーが終わった時に、僕が軽いノリで、何か曲でも作りましょうよって話をしていて、僕が最初にマレットっぽい音の上モノを送って、Crystalくんがそこにピアノの音を足してくれたんだったかな。それから、少し時間が経ったんですけど、そうしたら、Gonnoくんのアルバムの話が浮上してきて、それで改めてGonnoくんがあの曲を進めてみませんか、って声をかけてくれたんですよ。そうして、それまで3人で作っていたものを仕上げました。仕上げるにあたってはGonnoくんの進行力の高さが際立ちましたね。ドラムを入れて大きな方向性を示してくれて、「ここの音がこう動いているといいと思う」って感じで「おおっ、やりやすい」って思いましたよ。

次回作は12月に発表されるんですね。コラボレーションも経て、成長の記録を残すという意味では、今後はどう成長していきそうでしょうか？

『Assembles』っていう前にも出したサウンドコラージュ的なアルバムの続編が12月に出ます。色んなアウトプットの仕方があるので、少ないプレス数でもどんどん出していく方が、今は精神的に健全かなと思っていますね。時期を狙ってリリースっていうのも大事ですけど、今は、気分よくテンポよく作りたいなと。あとはこの前、八王子のShelterっていう老舗のハコと、Agehaのパーティー（Resonant）の野外ブースで、ノンビートではないんですけど、ほぼドラムが入らないリズムアンビエントというか、拍が取れたり取れなかったりするパーツをごちゃ混ぜにしてTraktorの4デッキでプレイしていくっていうのを2時間ずつくらいやったんですけど、それを発展させて何とか形にできたらいいかなと考えています。『My Little Ambient Melodies』みたいな時間の流れではなく、『Here』でもなく、『Assembles』みたいなサウンドコラージュでもなく、ちょうどその真ん中というか。それはそれでマッチする時間があるなぁ、と思っていて。

『Here』を作って、『Assembles』の続編を作って、『My Little Ambient Melodies』を作ってっていう流れで、その3つをやれたおかげで、改めてフロアで鳴らすような音にアプローチしたいと思っていて。アナログをしばらく出していないので、アナログを出そうかなぁと。アナログを出す感覚でもう1回作るのもいいかなと、もともとはずっとそうだったので。最近はそれとは違うやり方でやっていたので、また、そういう前のやり方に戻っていくのかなと。分からないですけどね。