「ここには独特な世界がある」―アメリカの様々な土地のローラースケート・シーンのDJやダンサーたちが集まるイベント、Soul Skateについて取材したとき、MoodymannことKenny Dixon Jr.はそう表現した。そのSoul Skateで自身がDJしない理由については、「俺は主役じゃないんだ」と答えた。彼はSoul Skateの運営チームと協力し、歴史的にも重要な、結束の固いスケート・カルチャーを存続させているスケーターやDJたちに活動の場を提供することに専念しているのだ。

実のところ、Dixon Jr.がブラック・スケート・カルチャーを愛しているからこそ、そのインタビューが実現したと言える。彼の未発表アルバムについてや、デトロイトでの日々の生活については質問しないと明確にしたところ、ようやくインタビューに応じてくれたのだ。彼との会話を通じてわかったのは、Moodymannの楽曲から滲み出る尋常じゃないクールさは決して演技ではないことと、Soul Skateに来るお客さん、毎日仕事に追われる地元の人々、そして彼が心から愛する街デトロイトへの恩返しをすることが彼の原動力なのだということであった。

Soul Skateののヨーロッパ版の開催と、同イベントの2020年のデトロイト版の開催を祝して、Dixon Jr.との貴重な会話の全てをここに記すことにする。

2007年にSoul Skateに遊びに行ったんですよ。あの体験で人生が変わりました。

本当？

あの体験がなかったらこの仕事はしていなかったと思います。

2007年？マジかぁ！

あれがSoul Skateの第一回目だったんですよね？

ああ…で、それ以降は遊びに来てないの？

去年も行きました。

おお、去年来たんだ？楽しかった？

それはもう、最高でしたよ。

何曜日に来たの？土曜日？

初日のイベントに行って、それから大人向けプロムも行きました。そこでBig Bob（※70年代から活動を続ける伝説のスケートDJ、Big Bob Clayton）とも知り合いました。

おお！

それからドキュメンタリー（『United Skates』）の上映会も行って、土曜日のビッグイベントにも行きました。

あのイベントは会場が暑すぎたよな。すまなかったね。あれだけの多くの客を入れるのはもうやらない。みんなに楽しんでもらいたかったから入れたけど、キャパを超えていたね。すまなかった。

大丈夫ですよ。スケートリンクに出るのはちょっと躊躇しちゃいました。でも、あのひとと喋りましたよ。名前はなんでしたっけ？ Piranhaheadとか、Omar-Sの曲でも歌ってるシンガーです。

Terr? Divinityかな? あの娘は最高だ。

はい、彼女に会いました。良いひとですね。あとTraci（MahoganiとSoul Skate運営のTraci Washington）とさっき話をしていて、彼女は初めてあなたがスケートしているのを見て、「あんなふうにスケートするひとは初めて見た」と思ったらしいです。それがきっかけでスケートを始めたのだと。

それは大げさだ…

スケートを始めたのはいつ頃ですか？

覚えてないね。むしろ、スケートをしてなかったのはいつか、って聞いてくれたほうが早い。みんなやっていたから俺も始めたんだ。それに女の子とも出会えるしな。ストリートで悪さしないで済んだ。楽しいし、運動になる。俺たちはただスケートに夢中だった。土曜にはいつもスケートをしていて、そのうち年をとって他のこともするようになった。

デトロイトのスケート・スタイルについてお聞きしたいです。まず、スライドがありますが、あれはデトロイト発祥ですよね。あとファスト・バックワーズ（後ろ向き滑り）もデトロイトですね。ロッキングもデトロイト。スケートについて何も知らないひとにデトロイトのスケート・スタイルを説明するとしたら、なんと言いますか？

デトロイトそのもの。そう答えるね。それ以外に説明する言葉がない。他に同じものはない、唯一無二だ。どんなブラックスプロイテーション映画を観ても伝わるはずだ、あのエナジー、あのスケート・スタイルが。

特別な名前もない。ただの俺たちのスケートの仕方だ。いかにカッコ良く滑るか。アトランタ、シカゴ、フィリーのヤツラも独特のスタイルを持ってる。ノースカロライナ、LA。どこにだってスタイルがある。エナメル革の靴、Stacy AdamsやChucks（Converseのチャック・テイラー）なんかを履いてね。みんな独特なスタイルがあるんだ。動き方でわかるぜ。他のスケーターも同じことを言うと思うし、俺もこれは何回も言ってるが、俺はスケートリンクの端に座ってスケーターたちを眺めているだけで、数秒で、彼らがどこ出身だか当てることができるんだ。彼らのスケート・スタイル、彼らの腰や膝の動きでわかる。

Big Bobも同じことを言っていました。「ワンムーブで、そいつがどこの出身だかわかる」って。彼にとってのスケートDJのメンターはBill Butler（※ローラーディスコ・カルチャーの生みの親と言われる伝説のスケーター）だったみたいですね。

ああ、彼もデトロイト出身だと思う。だが出身地がどこかは関係ない。彼は俺や、みんなと同じ仲間だ。Bill Butlerはあちこちでスケートをレペゼンしていた。全てのスタイル、カラー、フォームを。俺たちからしてみれば、彼以外にそのストーリーを伝えられるひとはいなかった。ミュージシャンでも同じだが、彼にしか伝えられない物語があった。だから、彼ほど知られている人物がスケーターをレペゼンしてくれることは素晴らしいことだったし、それがたまたま同じ地元の出身だったということは恵まれたことだ。

あなたは自身のDJスタイルにも同じことを言っていましたね。最新のホワイトレーベルを期待して、あなたのDJを聴くべきじゃない、と。あなたのDJは、デトロイトのパーティーがどういうものかを伝えることなのだと。

ああ、そうだね。

Soul Skateが始まった当初は、Movement目当てに遊びに来たひとたちに、ここのパーティーがどういうものかを教えることが目的だったとTraciが言っていました。でも今では、国じゅうのスケーターたちが楽しみにする一大イベントにまで成長しました。まるでひとつのフェスのようになったこのイベントの変化について、どう思いますか？

もともとそんなつもりはなかったんだ。今や独り歩きしてしまっている。でも良いチームに恵まれているし、それは間違いないね。本当の目的は、ひとを集めて俺のTシャツを買ってもらうことだった。俺のレーベル、俺のアーティストを宣伝しまくって、Tシャツを買ってもらうことがSoul Skateを始めた理由のひとつだったのに、それは失敗で、誰も俺のTシャツやレコードには目もくれなかった。それよりもみんなが知りたかったのは「次のスケート・パーティーはいつ？」だった。俺は「スケート・パーティーなんてクソくらえ。俺のレコードを買ってくれよ」って感じだった。それからまた挑戦して、またTシャツとかレーベル関連グッズを売ろうとしたけど、誰もそんなものに興味はなくて、次のスケート・パーティーについて聞かれた。パーティーそのものが人気になっていった。

でも今では感謝してる。もはや俺を超えた存在だ。あのパーティーはデトロイトのためのものだ。やるたびに赤字だ。2年かけて取り戻して、資金を貯めてまたやる。でも毎回赤だ。デトロイトのためにやってるんだ。

例えば、俺みたいによく旅をするスケーターもいるが、よそでやってるスケート・パーティーに行きたくても行けないスケーターもいる。行く手段や経済力がない。LAだとか、ノースカロライナ、ピッツバーグ、テキサス、そういった場所にはスケート・パーティーに行けないひとたちがいる、様々な理由でね。だから、このパーティーをそういった場所に持ち込んだらどうだ？って考えたんだ。なんで俺がDJしないのか、とかレギュラーDJが出演しないのはなぜかとよく聞かれるんだけど、結局出演するDJは俺たちが聴いてるのと同じ音楽をかけてる。このイベントの目的は、Soul Skateのメンバーと色々な街に行くことで、地元のひとたちに別の街から来たひとたちと交流する機会を与えて、デトロイト式のおもてなしでみんなに楽しい時間を提供することなんだ。

あと、男にとっては女と出会う機会にもなる。スロージャムをかけるからな。スロージャムは良い雰囲気を作るんだ。そのうち、日数を増やしてほしいっていう意見も出てきた。「わざわざカリフォルニアから来たのに、土曜だけでもう終わり？もっとやってよ！」って言われるようになった。そうやって、どんどん規模が大きくなったんだけど、俺ひとりではとてもできないことだったよ。あと海外でもスケート・イベントをやるようになって、デトロイトとかシカゴ、LAとか色んな場所で有望なヤツをピックアップして「一緒に行こう」と誘うんだ。Soul Skateをレペゼンしに海外に行く。つまりアメリカの、特にデトロイトのパーティーとはどういうものなのかを見せに行くんだ。

Soul Skateの運営メンバーについて教えてもらえますか？

まず、街そのものだ。デトロイト・シティのことだ。デトロイトという街をしっかりレペゼンすることが、Soul Skateのメインフォーカスだ。それから運営クルー。13人ほどいて、みんなスケート好きだ。大事なときはお互いをサポートする。あとはアメリカのあちこちに手伝ってくれる仲間がいる。5、6人くらいプロモーションで手伝ってくれているひとたちがいるが、主な拠点はデトロイトだ。そして俺は主役じゃない。むしろ、俺はどっちかというとパーティーでお客さんを楽しませる役だ。あまり運営にすらもう関わってないんだ（笑）。パーティーそのものを楽しみたくて、運営に関わってるってことすら忘れたい。

それは思いました。去年のSoul Skateではあなたはあまり目立とうとせず、歩き回ってお客さんと軽く挨拶しているだけでしたね。

俺は主役じゃないんだ。俺がDJをしない理由もそれだ。他の誰かにその機会を譲りたいんだ。ここには独特な世界がある。地元の才能あるヤツだとか、世界各地の面白いヤツを連れてきて、ショーケースをする良い機会になるんだ。あと、来てくれたひとたちのためにシークレットゲストを呼ぶ。それを知らないひともいるんじゃないかな。

Northland（※デトロイトのスケート場）ではRakimが登場していましたね。びっくりしました。Ronald Isleyも。

それで怒るヤツもいたんだ。「事前に言ってくれれば行ってたのに！」って。出演するとわかってから来るんじゃなくて、俺たちがやってることをサポートしてほしい。だからシークレットゲストは、サポートしてくれるひとたちへのプレゼントだ。でも毎年やるわけじゃない。甘やかすべきじゃないからな。でもありがたいことに…名前を全員あげるつもりはないが、Whodiniが出てくれたときが印象的だった。自分が呼びたいひとを呼べたときのゲストはお気に入りだ。たいてい、運営チーム内で名前を出し合って、俺はみんなに合わせるんだが、2016年のときは今年は絶対Rakimを呼ぼうって決めていたんだ。俺が子供のときから憧れていたヒーローだからな。あのときはワガママを通させてもらったよ。去年はIsley BrothersのMr. BiggsことRonald Isleyを呼んだが、会場が暑くてしょうがなかった。どこも暑かったけど特にステージ上は尋常じゃなかった。彼は良いライブをやってくれたけど、長い尺はできなかった。でもカーテンを開けて、彼が歌い出したとき、音がおかしくて、生の声じゃなくてレコードが流れてるだけだと思うひとたちも多かった。むしろ毎回、ゲストが登場するときはそんな感じだ。滑るのに夢中で、気がついたときには「え？何？」みたいな。ゲストがいたことすら気づかないひともいるだろう。

カーテンが開いたとき、お客さんから歓声が湧いてましたね。Rakimが登場したときは、あなたは「オッケー、今日はRが来てくれた」って紹介してました。でもお客さんはゲスト目的でチケットを買ってるわけではないし、これはあくまでイベントの一部でしかない。

毎年、違うジャンルのアーティストを呼びたいと思ってるんだ。あと言っとくけど、特別料金で出てくれるようなレベルのアーティストじゃない。彼らにとってどんなイベントだろうが関係ない、出演ギャラは通常料金だ。誰かの子供の誕生日だろうが、コロシアムでの公演だろうが関係ない。でも俺たちは良いライブを提供することのほうが重要だと思ってるから、喜んで払う。お客さんはRakimだとか、Chico DeBargeやDJ Quikを気軽に観に行けないひとたちが多い。あるいは金はあるけど、仕事で行けなかったり。

それに、客の年齢も若くない、大人の層だ。成熟した年代だぜ。彼らのキッズたちはダウンタウン（都心部）に行ってる。これはアップタウン（住宅地区）の層なんだ。楽しいよ。それに、どこから来たとしても、この夜はみんなデトロイトのひとだ。パーティーの2日前にデトロイトの空港に到着したばっかりだろうが、数時間前に着いたばかりだろうが、関係ねぇ。その夜はみんなデトロイト出身だ。

街には５つのスケートリンクがありますね。そのうちの２つ、RollerCadeとおそらくThe Great Skateは経営者が黒人です。デトロイトではスケート文化がまだまだ力強い印象があります。

正直言うと、10年くらい前、この街のスケートリンクがどんどん無くなってると文句を言っていた。でも他の土地に行ってスケートリンクがここよりも少ないところをいくつも見てきて、ここはまだあるほうなんだなと思った。そこらじゅうにあるのが当たり前だったのはもう昔の話だ。昔、8マイルのWheel Zoneによく行ってたことを覚えてるよ。どこにでもあった。あと俺らがガキのころは、パーティーが駐車場で行われてた。その頃からずいぶん変わっちまったね。今では、スケートリンクに行ってちょっと運動でもできれば嬉しいよ。

スケートDJについてお聞きします。Big Bobに出会ったのはいつ頃ですか？彼はデトロイトに1989年から来ていると言ってました。

彼と出会ったのはそんなに前じゃないんだ。ちゃんと喋るようになったのは、たぶん4、5年前のことじゃないか。彼は俺のことを知らなかったが、俺は彼のことを知っていた。みんなBig Bobのことを知っていた。彼のことを最初に耳にしたのはもう随分前だ。Louie Vegaも彼のことを喋っていたのを覚えてる。今でも現役なのがすごい。

心臓の病気と闘ってましたけど、今でもサウンドシステムを引き連れて現場にいますね。

彼はそう簡単には手放さないぞ。まだまだ現役でいてもらわなくちゃ（笑）。

上手いスケートDJと上手いクラブDJはどう違うと思いますか？

上手いスケートDJは、実家で親に聴かせてるようにプレイするひとだ。70年代の、何でもかかってたあの頃のクラブにいるみたいにプレイするひとだ。昔はクラブに行って、踊って、汗かいて、精一杯楽しめた。最高だったよ。友達とよく遊びに行っていた。女の子をナンパして。で、スケートリンクに行くと、スロージャムが聴けた。スケートパーティーではそんなに会話をする必要はない。若い娘と仲良くなって、良い雰囲気になれば一緒にスケートをするんだ。

今朝、Roller Wheels（※デトロイトのスケート場）では年配の夫婦がスケートしているのを見ました。

ああ、気持ちが良い、気持ちが良いんだ。クラブにはない感覚だ。腰が動いちゃって。わかるひとにはわかる。最高なことだよ。

スケートリンクではゆったりとした曲をかけるんだ。それも超スローなものだ。クラブではスロージャムなんてもう聴けない。80年代、70年代のクラブでは2時間くらい盛り上がった後ブレイクダウンの時間があった。でも、今はクラブで(プリンスの)"Do Me Baby"をかけるやつなんていやしない。まったく、フザけんな。

あなたにとってのスケートジャムの名曲は何ですか？ Traciはあなたがよく(Keezo Kaneの)“GaGaGa”をかけると言っていました。

それはみんなかけてる。俺の秘密は簡単には明かさないでおこう。本音を言うと、上手いDJはほぼどんな曲だって名曲にしてしまうことができる。お前はその曲を知ってるかもしれないが、その曲を知らないひとが聴いたら違って聞こえるしな。そして上手いDJは見せ方が上手いんだ。わからないかもしれないが、スケートリンクでPeter Framptonでも聴いてみろ。“Do You Feel Like We Do”は最高だぜ。それからJamesでもかけちまったら…どんな曲だって良い。ここには、70年代のフィーリングと、70年代や80年代のアティチュードを組み合わせたDJアプローチがある。どんな音楽の好みをしてようが、絶対一回は自分の好みのジャンルがかかる。

最新のヒップホップだってかかる。ああいうシットが嫌いだったとしても関係ねぇ。俺は好きだぜ。オールドヘッズたちは「今どきの若者はクスリ漬けだ…」とかって言うけど、俺たちも若い頃はそうだったろうが。俺たちがやってたことを思い出せよ。たしかにヤツラはテレビで堂々とやりすぎだけど、でも結局才能があるんだから音楽も良い。やってることが嫌いだとしても、そいつの才能とは関係ない。ギターですごいプレイをしたりするかもしれない。わかるか？ともかく、DJに関してはそういった考え方だ。それにしても、もうずいぶん喋っちゃったな。もうすぐ出発しなきゃいけないんだぜ。(※彼はこれからアムステルダムのフェスDGTLに出演する)

あなたとこういう話ができるとは思ってなかったんで、感謝してます。ありがとうございます。

なら良かった。楽しんでもらえたなら幸いだ。Northlandも行くべきだったよ。金曜の夜は行かなかったのか？

火曜に到着したんで間に合わなかったんです。でもSoul Skateが開催されてるときにNorthlandに行ったことはもちろんあります。あと今朝の9:45AMのセッションについても教えてくれてありがとうございます。

ああ、あちこちで朝にそういったセッションが行われてるんだ。朝から遊んで、練習もできる。みんな顔なじみなんだ。そういや、今回の取材でThe Baby Jimにも話をきいたほうがいいと思うぞ。Baby Jimじゃないからな、間違えるんじゃない。彼の名前はThe Baby Jimだ。彼はスケートリンクで一番クールなマザファッカーだ。大ベテランなんだ。今日もいたんじゃないか？いつも爪楊枝をくわえて歩き回ってるヤツだ。どんな滑り方をしようと、口にはずっと爪楊枝がある。よく彼女のRedを連れていて、一緒に踊ってる。お似合いのカップルだ。彼に話を聞くべきだ。電話のインタビューのセッティングをしようか？彼なら貴重な話もたくさん聞けるぞ。

彼はデトロイトの有名人なんですね。

でもな、言っとくけど、彼はそこそこの歳だ。年齢を言わないが、若造じゃない。でもな、彼のスライドは超スムーズなんだ。それでもリンクから追い出されることがある。そんぐらい、ここらの年寄はスケートに対してアツいんだ。

「もともとSoul SkateはレーベルのプロモーションとTシャツの販売が目的だった」という話、面白いですね。でも今ではお客さんはあなたをSoul Skateのひととして認識していて、Soul SkateのTシャツを買ってます。Roller Wheelsに来るひとたちで、あなたが毎週末世界中のフェスでプレイしている人気DJであることを知っているひとはいるんですか？

何人かいるよ。インターネットのせいでたまにバレる。でもみんなの前でそれを公表したことはない（笑）。そんなことは重要じゃないんだ。そういうことをやるおかげで、こういうことができる。やりたいことをやるためにやらなきゃいけないことなんだと思ってる。海外に行くことで、地元でこういうことができる。ここのひとたちに、普段観ることができないコンサートを提供しているんだ。MazeやRakimをそれまで観たことがなかったひとたちもいるだろう。それに、スケートをするとしたら夕飯を我慢しなきゃいけなかったり、子供の面倒を見れないひとたちもいる。そういうひとたちのために食べ物も用意してる。腹がすいたから帰るだって？そんな必要はない、飯はある。他のクラブでやってるライブを観に行くだって？そんな必要はない、ここにコンサートはある。どこにも行く必要はない、ここで一晩中遊べるんだ。女だっているぜ。あちこちから来てるマザファッカーがたくさんいるぜ。言葉が通じないひととずっと仲良く滑ることだってできる。相手が何言ってるかわかんなくても、一晩中一緒にスケートするんだ。何も言葉を交わす必要はない。一晩中グルーヴを感じていればいい。

クラブのダンスフロアってみんなが一体となって、音楽に没入することができる場所だってよく語られますけど、ある意味、スケートのほうがその幸福感に到達しやすい方法かもしれないですよね。

何もしないでずっと浮くように滑るヤバいヤツラもいるぜ。ずっと浮いてるんだ。さすがに目をつぶってる、とまでは言わないがゾーンに入りきっちゃってる。近寄ろうとすると感覚的にわかる。ヤツラはそっとしておいたほうがいい。かかってる曲によっちゃぁ…我を失って踊るんだ。近寄らないほうがいい。

Traciによると、あなたもそのうちのひとりのようですね。

俺はそうは思わないがな。上手いスケーターは見ればわかるけど、俺はそれほど上手くない。多少練習はしてるけどな。スケートという言語に関してはペラペラではないけど、理解はできるくらいだ。

長々とありがとうございました。

ありがとうな。良いTシャツ着てるじゃん（Theo Parrishの顔とSound Signatureのロゴが入ったTシャツを指差す）。それは俺のブラザーだ。よくしてやってくれよな。あと俺のTシャツも持って帰りな。