“トラック”、“ボンバ”、“チューン”、“トゥエリー”、“リディム”、“カンブラ”、“ベルター”、“ミナ”… 私たちのシーンの基礎を形成する “曲” を意味する言葉は多種多様だ。地域ごとに呼び方の違いはあれど、エレクトロニックミュージックが呼び覚ますフィーリングは万国共通だ。多くのトラックが私たちの琴線に触れ、あるいは精神の糧となる。今回紹介する20曲のように、特別なトラックはその両方の特質を備えている。今回選んだトラックたちは学生パーティやウェアハウス・レイヴ、アフターアワーズやスクワット・パーティなどを彩ってきた。騒がしい数千人のレイヴァーたちに囲まれながらこれらのトラックを聴いたこともあれば、深夜で自室に篭ってひとりで耳を傾けたこともあるだろう。どんな場所でプレイされようと、ここに紹介するトラックはいずれも幾千万もの人々の心を震わせてきた。

また、エレクトロニックミュージックはこの10年間でよりグローバルな存在になった。ダーバンやバンクーバー、コペンハーゲン、カンパラなどのエキサイティングなシーンは世界を駆け巡るサウンドを生み、ハウスやテクノ、エレクトロ、ベースミュージックをスリリングで新鮮なフォームへと再解釈した。あるシーンはインスピレーションを求めて過去へとさかのぼり、初期のパイオニアたちのサウンドに忠実なヴァイナルオンリーのEPを展開した。また別のシーンではインターネットをひとつのディストリビューションツールとして受け入れ、新たな地平を切り開いた。このような過程を経て、プロデューサーの多くがレーベルへの依存度を減らし、私たちのシーンを長らく支配してきた構造を打ち壊しつつある。自らの音源をオンラインでセルフリリースすることで、そこにはリスナーとの直接的な接点が生まれた。かつてないほどその数を増やしているアーティスト個人の運営によるレーベルも同様の方法をとった。メディアの違いはもはや問題とならなくなり、DJたちはデジタルからヴァイナルへ移行し、さらにデジタルへ戻り、ラップトップを捨ててターンテーブルへ向かい、その後CDJを手にしていった。

ここに選出したのは過去10年間を決定づけた20曲だ。このリストはハウス / テクノ / ディスコ / ミニマル / アンビエント / ドラムンベース / ダブステップ / ゴムなど多様なジャンルにまたがる数百曲規模の候補から選び抜かれたものであり、一部にはジャンル分類が不可能なトラックも含まれている。ハイエンドなスタジオで作りこまれたもの、あるいは海賊版ソフトウェアが詰め込まれたボロボロのラップトップで作られたものなどを問わず、ここに紹介したトラックたちは過去10年間を象徴するサウンドだ。

2010年代を決定づけた重要トラックの数々を、Spotify / Apple Music / Buy Music Clubでチェックしながら振り返ってみよう。

トップ20:

- 2010
  Maya Jane Coles
  What They Say
  Real Tone Records
- Maya Jane Colesがブレイクするきっかけとなった2010年の"What They Say"は、キャッチーなハウス風オルガンリフにおけるタイムレスな魅力の証明だ。このトラックの成功は彼女を2010年ベスト企画のリスト上位へと押し上げ、彼女はアメリカでのEDMフェスElectric Zoo出演をはじめとしたグローバルなツアースケジュールをこなすことになった。当時のアメリカにおけるEDMフェスといえばプログレッシブトランスやメインステージ系ダブステップが支配的となったが、たった数年間にこのふたつのメジャートレンドがフェスを席巻する道筋を用意したのはColesの存在感とこのヒットトラックの反響によるところが大きかったのかもしれない。ビッグルーム・ディープハウスのけばけばしいスタイルにしろ、90年代的なフックとピッチダウンされたヴォーカルを備えた数多のポスト・ダブステップトラックにしろ、これらは"What They Say"のキャッチーで劇的なプロダクションの延長線上にある。
  
  2014年にはNicki MinajがDrakeとLil Wayneをフィーチャーした"Truffle Butter"において"What They Say"の90年代的フックをサンプリングし、ポップ業界もこの曲へ直接投資することになった。これ以降、より多くのメジャー系ヒップホップアーティストたちがアンダーグラウンドなクラブサウンド（とりわけUK / USガラージの亜種）にインスピレーションを求めるようになっていった。DrakeはMoodymannをサンプリングした以外にもUKファンキーやグライム、OGダブステップなどイギリスのサブスタイルに触手を伸ばし、Kanye Westは2016年のシングル"Fade"においてMr. FingersやHardriveといったUS産ハウスクラシックをサンプリングした。2010年代初頭に"What They Say"をはじめとしたトラックがこの変化を主導しなければ、これらは全て不可能だっただろう。
  
  - Elissa Stolman
  
  こちらもチェック: Paranoid London - Paris Dub 1 / Willow - Feel Me
- 2010
  Head High
  It's A Love Thing (Piano Invasion)
  Power House
- 2010年代で印象に残ったリバイバル・トレンドにはどんなものがある？　ジャングル？　90年代ハウス？　それともブレイクビーツテクノ？　UKレイヴやハードコアは？　2010年代にリバイバルしたこの4つのうち3つのジャンルが好みなら、それはRené Pawlowitzによるところが大きい。Shed名義でも知られるPawlowitzは、Head High名義のもと90年代的多幸感と精巧なサウンドデザイン、強烈なキックドラムを組み合わせたウェアハウスレイヴ直系のサウンドを創出した。かつて、Crackのインタビューに対してPawlowitzは「いい加減に扱われているサウンドやエフェクトは一切なく、とにかくキックがブンブンと鳴りまくっている」と語っている。
  
  この簡潔だが魅惑的なアプローチが最良の効果を生んでいるのが"It's A Love Thing (Piano Invasion)"で、このトラックは2010年にHead High名義で最初にリリースされた12インチに収録されている。このトラックはまさしく強烈だ。轟音のごときドラム、耳にこびりつくヴォーカルサンプル、美しいピアノコードは今なお極めてフレッシュに響き、間違いなくタイムレスクラシックと言える。Kulør、Ilian Tape、Lobster Thereminなどのレーベル群、さらにはピアノリフやレイヴスタブ、チョップされたヴォーカルなどを使ったテクノを制作したりプレイしたりする全員にいたるまで、このトラックの影響は今もあらゆる場所で耳にすることができる。ここで浮かんでくるのは「Pawlowitzはこの10年で最も重要なクラブプロデューサーなのか？」というもうひとつのクエスチョンだ。
  
  - Carlos Hawthorn
  
  こちらもチェック: DVS1 - Black Russian / Stanislav Tolkachev - Sometimes Everything Is Wrong
- 2011
  Kassem Mosse
  Untitled
  Workshop
- もし2011年の冬に多くの時間をクラブで過ごしたなら、揺らいだ超ヘビーなキックの上で"—ensuality," "—ensuality," "—ensuality," "—ensuality...." と執拗に繰り返される不気味なリフレインに取り憑かれた経験があるはずだ。このトラックはWorkshopからリリースされた無題EPのAサイドに収録され、WorkshopおよびKassem MosseことGunnar Wendelの両者にとっての最高傑作となった。Workshopは境界域にあるバイブスを得意とし、レーベル創立者たちが呼ぶところの「パーティにおけるさまざまな中間的シチュエーション」のための音楽をリリースしている。Wendelが最も得意とするのもこの不明瞭な領域であり、Workshop 12のレビューの中でDaniel Petryは「Wendelはまるでシルエットしか見えないスクリーン1枚隔てた向こう側から鳴っているようなレコードを作っている」と記している。このレコードはおそらくWorkshopとWendelの両者が過去にリリースした中で最も “クラブ・ボム” に近い作品といえる（少なくとも、その数年後にリリースされたWillow "Feel Me"までは）。だが、このトラックの底力はリズムの微妙なよろめき、トラック終盤で4分間に渡って追加されたアカペラ、そして何よりもそのムードにおけるシュールで不気味なダークさなど、単純なカテゴライズを拒む異例のディテールに端を発している。いまこのトラックを聴くと、Levon VincentからDJ Qu、STLまでにいたる2010年代初頭のハウスミュージックに重くのしかかっていたダークさを思い起こさせる（ Workshop 12のB1に収録されたトラックもまたこのサウンドの好例だ）。それでも、Kassem Mosseほど並外れて奇妙な音世界を提示したアーティストは他にいない。
  
  - Will Lynch
  
  こちらもチェック: Steffi - Yours / Omar-S - Here's Your Trance, Now Dance!!
- 2011
  Rrose
  Waterfall
  EUAX
- 2010年代初頭、Seth Horvitzは自分がダンスミュージックでやるべきことはすべてやり尽くしたと考えていた。カリフォルニアのミルズカレッジで電子音楽とレコーディングメディアを学んだのち、彼は作曲家を目指して多忙な日々を過ごしていた。しかし、複数のイベントを通してサウンドアーティストのBob Ostertagと出会い、彼はかつてSutekh名義で活動していたテクノのフィールドへ再び引き戻されることになった。ダンスミュージックに懐疑的なOstertagは自身がBuchla 200eシンセサイザーを使って録音した素材をHorvitzにたびたび送り、「これはテクノか？　こんな音で人々はダンスするのか？」と尋ねた。やがてHorvitzはこれらの素材を使ってテクノの構造に組み入れはじめ、サウンドの細部を研究することによって新たに開かれた耳とともにテクノへ回帰するきっかけとなった。
  
  "Waterfall"はフレイザー錯視（訳注：1908年にイギリスの心理学者ジェームス・フレイザーにより発表された渦巻き図形）を音に置き換えテクノとして表現したトラックだ。Razorというソフトシンセを用いた微細な半小節のオーディオサンプルを使い、Rroseは錯覚的なサウンドの縦列を生み出した。リスナーが耳にしている音は、かならずしも実際に鳴っている音ではない。あまりにもゆっくりとした変化であるために、私たちの知覚は「変化が起こっている」と錯覚するのだ。ブレイクがやってくる頃になると、その微細なシンセのループは私たちの両耳の間を飛行機が離陸しているかのような錯覚を生じさせる。"Waterfall"は狭いフィールドでの変化と複雑性という世界を発見する伝統の枠内で機能するが、Rroseはいまだに理解できないほどの巧さで私たちの聴覚と知覚を操作してみせた。
  
  - Mark Smith
  
  こちらもチェック: Donato Dozzy - Cleo / Aurora Halal - Eternal Blue (Wata Igarashi Crossing Remix)
- 2012
  Andrew Ashong & Theo Parrish
  Flowers
  Sound Signature
- 早熟の才能であるAndrew Ashongが遅かれ早かれ我々の注目を集めることになったであろうことに疑いようがないが、そのデビュー作であのムードハウス・マエストロであるTheo Parrishとコラボレーションしたことは衝撃的だった。ガーナ人の両親のもとサウスロンドンに生まれた10代のクレイツディガー、Ashongは早くからヴィンテージソウルへの愛を緩やかでサイケデリックな独自のスタイルへ昇華させており、Shuggie Otisのようなファンクの達人たちの足跡を追っている。"Flowers"において彼はかすかなヴォーカルのハーモニーとトリッピーなグルーヴを融合させ、微風の上で漂わせている。遠くではジャジーなドラムが穏やかに散りばめられ、飛び石のように軽やかなベースやその素朴なマシングルーヴはFela Kutiのオールナイトライブ、あるいはTheo ParrishのDJセットさながらの終わりなき律動を想起させる。サウスロンドンのジャズシーンは2010年代終わり頃には強大な勢いとなったが、この新たなシーンには深いルーツが根差していることを"Flowers"は証明している。
  
  - Chal Ravens
  
  こちらもチェック: Thundercat - Them Changes / Floating Points - Nuits Sonores
- 2012
  Joy O
  Ellipsis
  Hinge Finger
- 現在活躍する実に多くの大物プロデューサーたちが、ポスト・ダブステップ期の興奮に満ちた時期にキャリアをスタートさせた。かつて、UKの血気盛んなサウンドシステム・キッズたちはハウスの遺産にフレッシュなインスピレーションを見出し、このジャンル交配の季節では毎週末のように新たなアンセムがもたらされていた。そのようなアンセムを再三生み出した人物こそJoy Orbisonであり、彼のトラックはPlastic Peopleでの長時間にわたるいつものパーティからRinse FM、そして価値あるヴァイナルにおいても不可欠なものに感じられた。"Ellipsis"は今なお強烈なトラックだ。キマりまくったレイヴ的ノスタルジアを先取りしたJoy Oは後進のアーティストたちが数年かけて模倣することになるひとつのテンプレートを確立したが、"Ellipsis"はそうした模倣物とは一線を画した存在であり続けている。
  
  あらゆるクラシックなレコードがそうであるように、"Ellipsis"の魅力の一部はその無邪気さにある。プロデューサー自身が決して馴染みのないものに挑み、どうやって成立させるべきか確信を持てずにいながらも結果的に自身の影響源を通じて新たな道筋を見出すのだ。ベーシックなハウスの骨格（奇妙なことに当時4/4はラジカルなものに感じられた）を下敷きにして、水浸しのピアノとSource DirectのPhil Aslettが「We just used to like... do our own thing」と語る愛らしいほどにシンプルなサンプルを散りばめれば、"Ellipsis"はほとんど出来上がったも同然だ。仕上げのマジックに関しては、Joy Oの息の長いキャリアと関係があるはずだ。この後彼はテクノへと転向しビッグフェスの常連となり、R&Bにインスパイアされた2019年のEPではプロデューサーとしてのキャリアを再活性化させた。"Hyph Mngo"や"Sicko Cell"と同じく、"Ellipsis"はダンスミュージックの潮流が変化した時代を凝縮したタイムカプセルであり続けている。
  
  - Chal Ravens
  
  こちらもチェック: Mosca - Bax / Objekt - Theme From Q
- 2012
  Fatima Al Qadiri
  Desert Strike
  Fade 2 Mind
- 2010年代の10年間は、多くのダンスミュージックプロデューサーがみずからの作品を批評の手段とした。セネガルに生まれ、クウェートで育ち現在はニューヨークを拠点にするエクスペリメンタルアーティストFatima Al Qadiriは、そのキャリアの極初期からそのシーンにおける最も明確なコンセプトを打ち出す声であり続けてきた。2018年のRA Exchangeにおいて彼女は「音楽は抽象概念なの。このストーリー・ナラティブ・興味をわたしは満たそうとしている。愛、そしてマインドの非植民地化についてのある種の不安とともにね」と発言している。
  
  Al Qadiriが手がけた最も鮮烈で複雑なストーリーは、同時に彼女にとって最もパーソナルなものでもある。これが反映されているのが、2012年にリリースされた彼女の2作目のEP「Desert Strike」だ。その音楽はある非現実的で二重的な体験にインスパイアされていた。ひとつは湾岸戦争（彼女は1990年のイラクによるクウェート侵攻時9歳だった）、そしてもうひとつは戦争にインスパイアされたSega Mega DriveのビデオゲームDesert Strikeを通した戦争体験トラウマの再現だ。このEPのタイトルトラックにおいて、Al Qadiriはこれら戦争とそれに付随するトラウマをグライムとベースミュージックの奇妙なハイブリッドに変換し、さらに90年代初期スタイルのデジタルな光沢で覆った。痛烈であると同時に不気味なこの作品は、Al Qadiri個人はもとより広範なエクスペリメンタルクラブミュージックそのものの力強いアイディアが開花する道筋を手助けした。
  
  - Steph Lee
  
  Also on this list: Mssingno - XE2 / Oneohtrix Point Never - Chrome Country
- 2012
  Todd Terje
  Inspector Norse
  Smalltown Supersound
- 2012年、Robert Johnsonでのある夜 — ディープハウスだけでは今ひとつ盛り上げきれないと感じていたあるひとりのDJは、ある大胆な変化を企てた。そこで彼が手を伸ばしたレコードこそ、"Inspector Norse"だった。このレコードをかけることで彼がそれまでプレイしてきた流れはリセットされることになったが、誰も気にすることはなかった。あたかもそれが最適のタイミングであったかのように、このトラックのコミカルなベースラインが姿を現すとすぐに指笛が鳴り響き、クラウドたちの両手が上がった。これこそが、"Inspector Norse"の底力であり、これほど強烈な中毒性を持つクラブアンセムはそれまで存在しなかった。"Inspector Norse"はリリースされる以前からすでに多くに人々に知られていたし、DJたちもリリース前の段階からプレイしていた。2012年を通じ、"Inspector Norse"は臆面もないほどに繰り返しプレイされた。にもかかわらず、このトラックはどうしたわけかその輝きを少しも失うことはなく、プレイされるたびにご褒美をもらったように感じられた。これ以降、ダンスミュージックは細分化されていまい、これほど幅広く愛されるような1曲は出てこなくなってしまった。多様なサウンドがそれぞれにオーディエンスを獲得しているという意味では、全体的に悪いことではない。しかし、ジャンルを超えて愛されるクラブアンセムには一体感をもたらす特別ななにかがあり、"Inspector Norse"ほど共有体験の暖かさをもたらしてくれるトラックはけして多くない。時にはパーティの最終盤であろうと、どのようなタイミングでミックスされてもこのトラックはフロアーにいる全員を祝福してくれる。あたかも「やったぞ。君は今みんなと一緒にここにいて、素晴らしく最高な時間を過ごし、史上最高に気楽なメロディーに乗せられて両手を天に突き出しているね。その調子だ」と言われているかのように。
  
  - Will Lynch
  
  こちらもチェック: Powder - New Tribe / Eris Drew - Hold Me (T4T Embrace Mix)
- 2012
  Andrés
  New For U
  La Vida
- RAの2012年のNo.1トラックに選出されたAndrésの"New For U"は、Todd Terjeの"Inspector Norse"と並んで、この年の紛れもないフロア・アンセムだった。この曲が世に出たとき、すでにAndrésはこの業界に全く”ニュー”ではなかった。Moodymann主宰のMahoganiとKDJから着実にリリースをし続けていたし、Theo ParrishのRotating Assmblyプロジェクトではパーカッションを演奏、Slum VillageのメンバーとしてツアーDJもこなすなど多方面で活躍していたからだ。しかし、この"New For U"は、彼自身が立ち上げたレーベルLa Vidaの記念すべき最初の12インチだった。この作品はサンプリング・マジックの最上の例であり、また、DIYなやり方でもグローバル・ヒットを生むことが可能だということを証明した。MPCの達人による、Dexter Wanselの"Time Is The Teacher"からサンプルされたごく短いストリングス・リフ、数少ないエレピ音、それにタイトなパーカッシブ・ドラムのループと遊び心のあるベース・グルーヴの合わせ技。70年代のPhiladelphia International的なディスコと、80年代の削ぎ落とされたシカゴ産ディープ・ハウス、そして90年代のヒップホップ黄金期のサンプリング・アート全ての要素を聴き取ることができる。Andrésは、意図的に（もしくは直感的に）この音楽的系譜を凝縮し、タイムレスに愛される名曲に仕上げた。
  
  - Yuko Asanuma
  
  こちらもチェック: The Mole - Lockdown Party (DJ Sprinkles' Crossfaderama) / AceMo - Where They At??
- 2013
  Mari Kvien Brunvoll
  Everywhere You Go (Villalobos Everywhere You Go Celestial Voice Resurrection Mix)
  Jazzland Recordings
- Ricardo Villalobosによるベルリンのスタジオ内での長時間セッションは、ミニマルにおける最も衝撃的なトラックをいくつか生み出した。非現実的なワンマンバンドを若干想起させるライブ的アプローチにより、Villalobosがその壮麗なモジュラーセットアップから引き出した録音物は30分を超えるケースも珍しくない。しかし、このようなトラックはヴァイナルオンリーのリリースを想定しているため、完全なレコーディング内容を収録しきれるわけではない。結果として、リスナーは通常レーベルオーナーがレコーディング全体から切り出したごく一部を耳にすることしかできない。
  
  Villalobosが2013年にMari Kvien Brunvollへ提供した"Everywhere You Go"のリミックスは、彼のスタジオセッションの完全形に最も近いといえる。今なお最もウォントされるVillalobos作品のひとつとなっているヴァイナルのリリースに加え、"Everywhere You Go"のオリジナルをリリースしたノルウェーのJazzland Recordingsからは28分のフルヴァージョンが特別にリリースされた。Villalobos作品の高い水準に照らし合わせてみても、この28分フルヴァージョンは魅力的だ。うねるようなグルーヴの上にスペーシーなヴォイスが漂い、幽玄なアトモスフィアのレイヤーの抜き差しに合わせてエナジーが浮き沈みを繰り返す。平穏と混沌、光と影のパッセージが織りなされることで2010年代における最もパワフルなリミックスに結実しており、エレクトロニックミュージックにおいて不可欠な存在であり続けるアーティストによる傑作となっている。
  
  - Matt Unicomb
  
  こちらもチェック: Sakro - No Time To Explain / Matthew Herbert - It's Only (DJ Koze Remix)
- 2013
  Tessela
  Hackney Parrot
  Poly Kicks
- 2017年、Poly Kicksはレーベル史上最大のリリース（おそらく）に際し、「もともと2013年にリリースされていた"Hackney Parrot"は揺るぎない成功を収めており、過去数年ほぼすべてのDJにプレイされた」と簡潔に要約した。ここにはいくつかの真実がある。"Hackney Parrot"は世界中で聞かれたブレイクビーツだった。この作品は、威圧的なリズムとピッチ加工されたヴォーカルがユビキタス化したUKダンスミュージックにおける2010年代序盤の時代精神が最高潮を迎えた時期に生まれた。"Hackney Parrot"はそのビッグで迫力に満ちた奥行きのあるブレイクビーツによって傑出した存在となった。
  
  もちろん、Tesselaは同世代のプロデューサーに先駆けてブレイクビーツに取り組んだわけではない。Special RequestやPearson Soundもまた同様の方法でブレイクビーツを取り入れてはいたが、"Hackney Parrot"に匹敵するほどの強力なトラックはなかった。他のプロデューサーたちがジュークやフットワーク、ダブステップ、あるいはUKガラージ（Joy Oによる2012年のメガヒット"Ellipsis"のケース）などを参照する中、Tesselaはレイヴやジャングル / ハードコアの狂乱を蘇らせた。振り返ってみると、"Hackney Parrot"はこのレイヴ / ジャングル / ハードコアを参照した点においてさらに重要性を帯びているように感じられる。なぜなら、これほど未来のトレンドを先取りしたトラックはないからだ。
  
  - Elissa Stolman
  
  こちらもチェック: Demdike Stare - Patchwork / DJ Rashad - Let It Go
- 2013
  SOPHIE
  Bipp
  Numbers
- SOPHIEはこの10年間でまさしく他の誰にも似ていない音楽を作ってきた。2010年1月1日の時点で、"Bipp"と"Is It Cold In The Water?"の2曲を並べた時にこれらがただ単に同じ作り手に由来しているだけではなく、その作り手が次の10年間で最も愛され強い影響力を持つ人物になるといったい誰が正しく納得されることができただろうか？　SOPHIEについて二重の励みとなるのは、彼女が奇妙さを増すほどさらに力強くなっていく点だ。2013年に大いに度肝を抜いた"Bipp"は彼女の功績だが、"Ponyboy"に鼓膜を蹂躙された今となってはやや大人しい印象を受ける。
  
  それでも再度"Bipp"に耳を傾けてみると、おそらくしばらく前であればゴムが灼けつく異臭とあらゆる無重力アクションの目眩に痛めつけられるバウンシーチューンも、却って痛烈とは思わないはずだ。このようなトラックが合法的にポピュラーな存在になり、McDonaldsやMadonnaのミューズになるなど常軌を逸している。SOPHIEはより革新的に色彩豊かで混沌とした空間を通じてエレクトロニックミュージックを先導した。その空間ではカートゥーン・トラップや舞い上がるようなトーチソング、壊滅的なまでにヘビーなインダストリアル、どこまでも昇りつめていくようなEDMなどを通過するが、これらはすべて彼女の素晴らしいイマジネーションによってしか生み出せないものだ。ひとたびその理屈づけのための再帰的な要求が沈静化すれば、ひとつの認識が浮かび上がる。つまり、"Bipp"は誰もがその不在を嘆いてきた真に新しいサウンドそのものなのだ。"Bipp"はSOPHIEのキャリアの始まりというよりは、彼女が支配する時代の始まりを告げるものだった。
  
  - Gabriel Szatan
  
  こちらもチェック: MMM - Nous Sommes MMM / DJ Lag - Ice Drop
- 2013
  Paula Temple
  Colonized
  R&S Records
- 2010年代初頭、UKテクノは本来のグルーヴを取り戻した。クラシックなスタイルにエキサイティングなひねりを加えたPerc、Blawan、Trussら新世代アーティストのおかげで、世界はそれまでのドイツと所謂 “Berghainサウンド” から離れ、英仏海峡の向こう側のアーティストたちに再注目することになった。このUKテクノの復権は、シェフィールド出身のPaula Templeを活動再開させるきっかけとなった。彼女はミニマル全盛となった2006年を境にテクノから身を引いていたのだった。復帰第一弾となった"Colonized"はこのUKテクノ復興期におけるスリリングなサウンドの中でも最良のものとなった。荒々しいパーカッションと轟音シンセをブレンドしたこの5分間の攻撃はTempleを再びテクノの最前線に引き戻し、7年を経た今でもその場所にとどまり続けている。
  
  パーカッションに対するTempleの丹念なアプローチにより、"Colonized"はすべてがハードに響く。オフビートなドラムヒットから鋭いシンセにいたるまで細部にこだわり抜いたすべての構成要素は、なにがダンスフロアーを躍動させるかについて深い知識を有する完璧主義者による産物だ。2013年にリリースされた"Colonized"は、その後より多くのテクノプロデューサーたちがハードでインダストリアルなサウンドへと向かう傾向の先鞭をつけ、そのスタイルは年を追うごとにハードさを増している。Templeはこのムーブメントにおいて多数の素晴らしいトラックで貢献することになるが、"Colonized"以上に彼女のサウンドを象徴しているトラックはなく、今日でも建物解体用鉄球のごとき猛烈なインダストリアルテクノであり続けている。
  
  - Matt Unicomb
  
  こちらもチェック: Dopplereffekt - Tetrahymena / Factory Floor - Two Different Ways (Perc Remix)
- 2014
  Mumdance & Novelist
  Take Time
  Rinse Recordings
- 2014年の夏、MumdanceとNovelistは証明すべきことを山ほど抱えていた。当時30代前半を迎えていたMumdanceはDiploのMad Decent在籍時の脚光を浴びた時期に疲弊しきってしまい、再び自分にふさわしいと思えるモードを探っていた。いっぽう、当時17歳のNovelistはどうかといえば、その乾ききったウィットと高速フリースタイルはアウトサイダー的追求であり、彼のようなリリシストにとってチャートでの成功は日常茶飯事だった。しかし、この状況は一瞬にして変わった。Meridian Dan "German Whip" およびSkepta & JME "That's Not Me"が登場し、正当な評価を待ち続けてきた新世代たちにとって新たな季節が幕を開けた。2013年後半、Mumdanceの自宅スタジオでわずか3時間ほどで完成したという"Take Time"からは当時のグライムを決定づけたエナジーがビリビリと伝わってくる。Mumdance自身が「音の花火」になぞらえるスパルタンなブレイクビーツの上で、Novelistはみずからを囲む風景を探り、懐疑的にまなじりを決し、Dizzee Rascal "Stop Dat"にも一部同意を示しながら目立ちたがり屋の連中を非難する。
  
  このトラックは次なる展開への指標を示した。このトラックで自信を深めたMumdanceは冷たい感触のインストゥルメンタルを引き続き手がけ、ネガティブスペースの深みを追求し、ブレイクビーツを再導入しながらインダストリアルなブラックメタル・プロジェクトにも進出し、2010年代後半における最も並外れたダンスフロアー・ウェポンを生み出すことになった。2015年1月、Novelistは新たにXLと契約を結び、Kanye Westとも共演し、BRITsアワードではグライムの偉人たちと共に同じステージに上がったが、2014年末のThe Barbicanで行われたJust Jamテイクオーバーにおける彼の圧倒的なステージを観た者、あるいは"Take Time"を聴き、抜け目なく恐るべき才能に溢れたこの新たなMCを直感的に信頼した者にとって、これはまったく驚きではなかった。
  
  - Gabriel Szatan
  
  こちらもチェック: Skepta - That's Not Me feat. JME / SHYGIRL - BB
- 2014
  Jack J
  Something (On My Mind)
  Mood Hut
- 穏やかに揺れ動くベースライン、さえずるようなキーボード、吐息まじりで吹かれるようなサクソフォン — "Something (On My Mind)"に10分間浸っていると、太平洋のど真ん中の波間でゆっくりと浮き沈みするボートの上で白昼夢を見ているような感覚になる。Jack Jのデビュー作はその後すべての要素をチルの名の下にまとめたスモーキーなハウスによるカナディアン・リヴィエラと呼ばれるバンクーバー発祥サウンドの先駆けとなった。これらカナディアン・リヴィエラのレコードは、この曲たちが生まれた背景 — 砂が広がるビーチや針葉樹の森、蝋燭が灯るロフトパーティ、濃いマリファナの煙など — を想起せずにはいられないが、Jack Jutsonによるこの文句なしのアンセムにはこれらすべてが息づいている。
  
  Mood Hutの成功によってバンクーバー産ダンスミュージックのサウンドは変化し、多数のイミテーターを生んだ。"Something (On My Mind)"には、このムーブメントにおけるスペシャルな特徴のすべてが要約されている。フォーカスされていたのは、音楽性と生演奏だ — JutsonとそのPender Street SteppersにおけるパートナーであるLiam Butlerは、ダンスミュージックへ転向する以前はNo Goldというバンドに在籍していた。ダスティなディスコの感触、オブスキュアなカナディアン・シンセファンクの音色使い、そしてリラックスしたテンポは古いニューエイジのレコードからインスパイアされたものだ。Mood Hutはバンクーバーを地球上で最もチルな街に変え、"Something (On My Mind)"は今でも啓示的に感じられ、気楽でイノセントなままだ。このバイブスにしばらく身を任せたくない人などいるだろうか？
  
  - Andrew Ryce
  
  こちらもチェック: DJ Metatron - Oh Ah / Bookworms - African Rhythms
- 2014
  Shinichi Atobe
  Butterfly Effect
  DDS
- 2014年のダンスミュージックを振り返ると、チルアウトな音楽が溢れていたことに目を見張らせられる。ハイテンションなベース・ミュージックがヒットを見せ、その後ハードで高速な音が主流となる転換期に、じっくりと絶頂を迎える音に対する類稀なる辛抱強さが見られたのがこの時期だった。跡部進一の“Butterfly Effect”はそんな流行のサイクルの狭間で、時と場所を超えて生まれた傑作だった。どんなトレンドにも逆行する時代錯誤のこのアルバムは、Ken Ishiiのセットで踊り明かした翌日に一気に制作されたとも、跡部の最後のリリースである2001年の“Ship-Scope”からの沈黙の13年間をかけて制作されたとも推測できる。温故知新のダブテクノ、透き通るようなディープハウス、乾いたサウンドスケープ。活動休止していた埼玉県に住むこのプロデューサーをDemdike Stareが探し当て、そしてある日突如として我々の手元に届いたのが、この永遠とグルーヴし続けるかのような“Butterfly Effect”だった。
  
  このトラックで跡部が追求したのは彼のより静かな一面だった。澄んだオアシスのような、ヒーリング。デジタル・シンセの響きから、水中を漂うかのようなキック、音の至る所で穏やかさを纏っている。どのような制作過程を経たかも、制作者についてもわかっていることは限られており、全貌が明らかになることはないかもしれない。謎に包まれたこのミッドテンポのトラックが秘める磁力は、流行り廃りの激しいダンスミュージックの世界において、心地のいいピュアな体験だ。言えるのはただ一つ、“Butterfly Effect”は初めて耳にしたその瞬間からクラシックであったし、これからもそうあり続けるだろうという事だ。
  
  - Gabriel Szatan
  
  こちらもチェック: Machine Woman - Camile From OHM Makes Me Feel Loved / Mr. Fingers - Qwazars
- 2015
  Kelela
  Rewind
  Warp Records
- 2015年のヒット“Rewind”を制作中のKelelaは次のように語った。「ドキドキさせられるような、あるいはロマンスを感じるようなマイアミ・ベース色の曲を、でもどこか軽やかで楽しげな曲を作ろうと思った」と。これを成し遂げるために、彼女はアンダーグラウンドから5名のプロデューサーを雇用した。Obey City、Girl Unit、Kingdom、Nugget、それからAriel Rechtshaidだ。初めてその伸びるような水を思わせるメロディーを聴いたとき、失望の念を抱きながら、どう表現していいか思い悩んだという。その答えは、彼女の親友が握っていた。前日の晩、その友人はある女の子を追いかけていたが、すれ違いに終わってしまった。「彼女からその話を聴いたとき、胸を打たれたの。それで、そのイメージを曲にしたの」。完成した曲は、哀愁漂う氷のようにクールな、かつSo So Def Bass All-Starsの黄金期にも通ずるようなR&Bに仕上がった。
  
  トラックの最も華の部分で、ミュートされたコードに重なるKelelaの歌声がラップにとって変わると、彼女の最もデリケートな感情が露わになる。「This ain't a mystery （謎でもなんでもない）/ I'm tryin' to keep my cool （冷静を装ってるだけ）/ You standing next to me（あなたが私の隣に立つだけで） / I'm about to break the rules（ルールを全部無視したくなる） / Turn my head to the right（顔を右に向けて） / now I'm looking for you（いまあなたを探してる）」。ディープなシンセ音に包まれたサッカリンのように甘い彼女のファルセットが暗闇の中で囁く。誘うようでいて、どこか後悔の念を含む。そして突然、コーラスが戻ってきて、振り出しに戻る。ダンスミュージックとR&Bとポップの境を引き裂くようなこのシングルは、2015年のムードにしっくりと合っていた。
  
  - Kiana Mickles
  
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- 2016
  Avalon Emerson
  The Frontier
  Whities
- “The Frontier”がリリースされた前年、Avalon Emersonのツアースケジュールは忙しいながらも、パンク寸前というほどではなかった。2016年に“The Frontier”がリリースされると、彼女のDJとしての地位はアンダーグラウンドの新人からトップDJへと瞬く間に上昇した。二胡（中国の二弦楽器）で西洋音階の民謡を奏でているかのような音が、震えるドラムビートの上に重なる、この一風変わったシンセの音色をもつ曲は、個性溢れるエモーショナルなテクノとして歓迎された。
  
  このトラックは根本的な作曲とシンセの音色に特徴を持つゆえ、他の者に簡単に真似できるものではなかった。“The Frontier”のような曲が出来上がるためには、それだけ力強いメロディーが必要だ。最近のヒットの多くは、既に名前の知れ渡ったプロデューサーのものや、ある特定のサブ・シーンでヘビー・プレイされるといった傾向が強く、アーティストの名をこれほどまでに有名にさせるといった例は今や珍しい。そういった意味で、アーティストをトップDJに押し上げるヒットはそう見られなくなったと言えるだろう。
  
  - Elissa Stolman
  
  こちらもチェック: Pearson Sound - XLB / upsammy - Another Place
- 2017
  Lanark Artefax
  Touch Absence
  Whities
- 2010年代が深まるにつれて、時代のコンピュテーション・テックを取り入れるクラブミュージック・プロデューサーの数は増加した。その手法はアーティストにより異なるものの、結果として出来上がった音の傾向はいずれも、ハイデフィニションでハイテク、そして超現実的な仕上がりに。"Touch Absence"もまた、先立つGescomやAFXといったアーティストの音と同様、このバーチャル・リアリティー的な音色を持ったアンセムだ。AYAの"That Hyde Trakk"やObjektが作るトラックほど、目に見えて複層的な音では無いながらも、超越したテクノロジーを喚起させる曲としてユニークであった。考え抜かれたキック、香水の霧のようなシンセ・パッド、神々しい合唱のハーモニーによって"Touch Absence"は無視できない魅力を持ち、まるで宇宙人に誘拐される時に奏でられる音楽のようだった。ベースドラムのディストーションときらびやかな音色に代表されるような、フィジカルさと幽玄さのつかみ所の無さのコントラストが、一層と強い魅惑を生む。
  
  "Touch Absence"のリリース時期に、この曲のブレイクビート・ミックスやLanark Artefaxのその他のトラックをAphex Twinがかけていた。2017年のAphex TwinのDJセットは、何年かフェスティバル等に登場する事なく惜しまれていた故に幾ばくか取り沙汰されており、彼がどんな曲をかけたかこぞって記録をするファンのおかげで、その影響は大きかった。Aphex Twinがプレイしたことによる脚光を楽しむプロデューサーも居る反面、レイヴ・カルチャーの真髄にある理想である横の繋がりによる情報の拡販という精神と相反するという批判も見られた。Lanark Artefaxの場合には、そんな批判が届く次元に及ばない。彼のトラックはそれ以上の力を持っていたからだ。どちらかといえば、このトラックを見出したAphex Twinにあっぱれを送りたい。"Touch Absence"の素晴らしさを、Aphex Twinもまた、僕たちと同様にその初っ端から見出したのだ。
  
  - Ray Philp
  
  こちらもチェック: Slikback - Ascension / Burial - Loner
- 2019
  Schacke
  Kisloty People
  Kisloty
- 2010年代が締めくくりに差し掛かる頃、テクノ・ファンは再びボーカルのあるトラックに恋に落ちていた。引き算のミニマル・テクノが主流だった時代と逆行するようでいて、自然な流れだったとも言える。あるレベルにおいて、DJの役割とはクラウドを喜ばせる「ヒット」をプレイすることだと言えるからだ。キャッチーなメロディーほど、ダンスフロアを沸かせる方程式はない。
  
  t.A.T.u.やBritney Spears、Robin S等のサンプリングがテクノ、ドンク、ブレイクビート・エディットに使われ、DJの新たな隠し兵器として、可笑しいと同時に最高に有効なフロア・キラーとなった。だがデンマークのMartin Schackeによってプロデュースされたボーカル・トラックは、過去数年で最も強力なアンセムとなった。サンクト・ぺテルブルクのレーベルКлуб (Clubという意味)からリリースされた彼の"Kisloty People"は、2019年の夏を彩っただけでなく、RAの「Track Of The Year」に選ばれた。高速でカラフルなテクノに、ハイパーなロシア語ポップが重なるこの曲で、SchackeはАкулаによる2001年のユーロポップ・ヒットである"Кислотный DJ" (訳すとacid DJ)のサビをサンプリングした。耳に残るロシア語の歌詞の中に、「people」「music」「love」といった誰にでもわかる英語の言葉が登場する。クラブ・ミュージックのコアにある多幸感に満ちた感情に、フレッシュな新しい解釈を"Kisloty People"はもたらした。
  
  - Steph Lee
  
  こちらもチェック: India Jordan - DN4 / PTU - A Broken Clock is Right Twice a Day

The wider 100

Here's 80 more tracks that defined the 2010s.

- 2010
- Tensnake
  Coma Cat
  Permanent Vacation
  
  This glorious tune, with its nod to Anthony & The Camp and "Can I get get" refrain, is scorched into the minds of a generation of clubbers who came of age at the decade's start.
- 2010
- Addison Groove
  Footcrab
  Swamp 81
  
  Immensely satisfying hits of undistilled TR-808 meet a vocal that does what it says on the tin, deliriously, over and over again.
- 2010
- Emmanuel Jal
  Kuar (Henrik Schwarz / Olof Dreijer Remix)
  Innervisions
  
  A Sudanese singer and activist's call to vote in an election symbolizing the end of a war in which he'd been a child solider, remixed into surreal party-rockers by Henrik Schwarz and Olof Dreijer of The Knife—with this one, Innervisions outdid themselves.
- 2010
- James Blake
  CMYK
  R&S Records
  
  Before James Blake was hobnobbing with R&B superstars, he made weird, insanely catchy dubstep.

- 2010
- MMM
  Nous Sommes MMM
  MMM
  
  Errorsmith and Fiedel's twisted take on stadium-sized rave music—if only the big beasts of EDM had taken cues from MMM instead of Steve Aoki.
- 2010
- Joe
  Claptrap
  Hessle Audio
  
  The originality of modern UK dance music, crystalised.
- 2010
- Robyn
  Dancing On My Own
  Konichiwa Records
  
  An instant classic from the moment it hit the airwaves, the Swedish electropop star's irrepressible end-of-the-night anthem will live in the pantheon of sad bangers forevermore.
- 2010
- Gregory Porter
  1960 What? (Opolopo Kick & Bass Rerub)
  Expansion
  
  Standing out through a sea of pedestrian edits at the time, this robust slice of house jostles with all the heart, vibrancy and craftsmanship of a soul smash from its namesake year.
- 2010
- Icicle
  Minimal Funk
  Shogun Audio
  
  The sound of drum & bass dance floors in 2010.
- 2010
- Art Department
  Without You
  Crosstown Rebels
  
  Welcome to the vampire nightclub, a netherworld soundtracked by Kenny Glasgow and Jonny White's spooky tech house smash.
- 2010
- Girl Unit
  Wut
  Night Slugs
  
  Play this to any Night Slugs detractor and watch their world turn upside down.

- 2011
- Steffi
  Yours feat. Virginia
  Ostgut Ton
  
  Ostgut Ton's greatest love song, a pumping house tune that dragged us to the dance floor, again and again.
- 2011
- Tin Man
  Nonneo
  Absurd Recordings
  
  A slo-mo acid groove from the master of the style, perfect for warm-up sets and half-empty dance floors.

- 2011
- Omar-S
  Here's Your Trance, Now Dance!!
  FXHE Records
  
  In the 2010s, Omar-S released albums called The Best and It Can Be Done But Only I Can Do it—when you make tracks like this, you can flex as much as you want.
- 2011
- Grimes
  Vanessa
  Arbutus Records
  
  The clear standout from Grimes' early EPs, this crystalline whir of bedroom enchantment was a warning shot that the Canadian was about to reshape electronic pop in her image.
- 2011
- Julio Bashmore
  Battle For Middle You
  PMR Records
  
  This anthem took the Dirtybird sound, chucked in some rave stabs and set every dance floor in the UK on fire.

- 2011
- Stanislav Tolkachev
  Sometimes Everything Is Wrong
  Subsist
  
  The apocalypse has never sounded so good.
- 2011
- Levon Vincent
  Man Or Mistress
  Novel Sound
  
  Let this snake-charming synth draw you down the rabbit hole, the standout melody in a catalogue full of them.

- 2011
- Mosca
  Bax
  Numbers
  
  The sample that goes, "My DJ is live in the place," isn't even the silliest thing in Mosca's casual masterpiece, a track that gently pokes fun at bassline and UK garage while reminding us that they're two of the best genres in existence.

- 2012
- FunkinEven & Fatima
  Phone Line
  Eglo
  
  Sometimes it just comes together—mutant, retrofuturist funk, a massive chorus, a perfect video and a synth that sounds like a busy signal.
- 2012
- Blawan
  Why They Hide Their Bodies Under My Garage
  Hinge Finger
  
  Before Blawan's slick modular experiments, he released this morbid singalong, a club bomb that helped bring UK techno roaring back to life.
- 2012
- Burial
  Loner
  Hyperdub
  
  Of Burial's many attempts to break the Burial myth in 2010s, switching the rave strobes on with "Loner" still leaves hairs raised and heads swimming.

- 2012
- Factory Floor
  Two Different Ways (Perc Remix)
  DFA Records
  
  A club destroyer from a producer whose thundering productions ushered in a new age for UK techno, where industrial-sized sounds met churning grooves.

- 2012
- Paranoid London
  Paris Dub 1 feat. Paris Brightledge
  Paranoid London Records
  
  For years Paris Brightledge's timeworn voice on "Paris Dub 1" drew cheers on every dance floor where it was dropped—which was, essentially, all of them.

- 2012
- Bookworms
  African Rhythms
  L.I.E.S.
  
  Inspired by San Francisco's lo-fi punk outfit Mi Ami and first knocked out in rough on a MPC 1000, Bookworms' amalgam of snaking drums, echoed chants and dripping synths sounds just as revelatory today as it did back in 2012.
- 2012
- Matthew Herbert
  It's Only (DJ Koze Remix)
  Pampa
  
  This wispy house gem was everything you'd hope for from an interaction between sample-twisting brainiacs DJ Koze and Matthew Herbert.
- 2013
- Xosar
  The Calling
  Rush Hour
  
  Like its clever video, this rolling, jazzy house track had us drifting into space.

- 2013
- The Mole
  Lockdown Party (DJ Sprinkles' Crossfaderama)
  Perlon
  
  Sprinkles' 12-minute "Crossfaderama" manages to encompass the stripped-down Perlon aesthetic, classic house, fader tricks and avant collage—a winning approach that was like catnip for dance floors at all hours.
- 2013
- Floorplan
  Never Grow Old
  M-Plant
  
  Hammered to within an inch of its life, this Aretha Franklin-sampling smash was a favourite of DJ Bone, Ricardo Villalobos and many more.

- 2013
- FKA twigs
  Water Me
  Young Turks
  
  The most affecting twigs song of the decade is the simplest, with a backing track that sounds like a melted "O Superman" and one of the most stunning lyrics in a catalogue full of striking turns of phrase: "He told me I was so small / I told him, water me."
- 2013
- DJ Rashad
  Let It Go
  Hyperdub
  
  What might be considered footwork's equivalent to "Strings Of Life," this emotional roller is a testament to how far DJ Rashad had come, and how much further he could have gone.

- 2013
- Mssingno
  XE2
  Goon Club Allstars
  
  Instantly omnipresent, "XE2" was the radiant debut that placed MssingNo among the artists who defined the essence of 2013's sonic world: emotive R&B hooks imaginatively reshaped into tender instrumental grime tracks.

- 2013
- Dopplereffekt
  Tetrahymena
  Leisure System
  
  The iciest track in a catalogue that emphasizes the cold detachment of technology, "Tetrahymena" was a career highlight for Michaela To-Nhan Bertel and Gerald Donald.
- 2013
- Jai Paul
  Jasmine
  XL Recordings
  
  The enigmatic Jai Paul might have made a career out of mostly leaked material, but his fusion of pop and lo-fi funk on "Jasmine" signaled a new wave of chilled-out alternative electronic music in the early '10s.

- 2013
- So Inagawa
  Logo Queen
  Cabaret Recordings
  
  Lush, warm and driving, So Inagawa drew from deep house's past to craft this perfect late-night groover.

- 2013
- Oneohtrix Point Never
  Chrome Country
  Warp Records
  
  Drifting dopamine clouds of synths, uncanny choral voices and the most righteous organ solo in human history combine to make the Sistine Chapel of net music.
- 2014
- Amadou et Mariam
  Ce N'est Pas Bon (JD Twitch Edit)
  Autonomous Africa
  
  A favoured weapon of Hunee, Antal and the like, this edit took Amadou et Mariam's original and sprinkled it with some Optimo dance floor magic.
- 2014
- Boy Harsher
  Pain
  Nude Club
  
  Boy Harsher's smash-and-grab synth-pop focuses on the thin line between love and hate, and on this 2014 single, their knack for a seething, insistent chorus was on full display.

- 2014
- Floating Points
  Nuits Sonores
  Eglo
  
  In a decade where it felt like Sam Shepherd could do it all, "Nuits Sonores" still felt like a milestone, sounding a bit like Herbie Hancock trying his hand at trance.

- 2014
- K-Hand
  Do It Again
  Dockside Records
  
  Two decades into her career, The First Lady Of Detroit showed she can still work up a killer house groove.

- 2014
- DVS1
  Black Russian
  Klockworks
  
  An instantly recognisable chord progression made this an emotional high-point of techno sets for years.

- 2014
- DJ Metatron
  Oh Ah
  Traumprinz
  
  Cosmic arps, momentous pads, a solemn sense of wonderment—with "Oh Ah," the artist best known as Traumprinz and Prince Of Denmark perfected the transcendent mood so much of his music aimed for.

- 2014
- Skepta
  That's Not Me feat. JME
  Boy Better Know
  
  Armed with a video that cost £80 and a point to prove, the Adenuga brothers instantly changed the narrative around grime and kicked off the movement's staggeringly successful second act.

- 2015
- Willow
  Feel Me
  Workshop
  
  The introduction to Willow's wonderful world, where twisted vocals and hazy chords entwined with a stoned house groove.
- 2015
- Demdike Stare
  Patchwork
  Modern Love
  
  The bizarrely banging highlight of Demdike's celebrated Testpressing series was an unlikely marriage of UK garage and anything-goes experimentation.

- 2015
- DJ Fett Burger & Jayda G
  NYC Party Track
  Freakout Cult
  
  By taking the strutting bassline from G.Q.'s "Disco Nights" and adding a nightcruising riff, a police siren and the best cowbell this side of DFA Records, Jayda G and DJ Fett Burger laid down a cool cut for lounges and lofts alike.
- 2015
- Dominica
  Gotta Let You Go (Bicep Remix)
  N/A
  
  Legal issues might have prevented an official release, but Bicep's muscular update of a mid-'90s organ house tune will live on in road-trip playlists, peak-time euphoria and first-tinny-of-summer infamy for years to come.

- 2015
- Skeptical
  Imperial
  Exit Records
  
  Surgical 175 BPM rollidge, precision-tuned to steamroll the dance.

- 2015
- The Galleria feat. Jessy Lanza
  Calling Card
  Environ Records
  
  With razor-sharp production from Morgan Geist meeting a quintessentially Lanzian tale of jilted love, you could have mistaken "Calling Card" for a lost freestyle anthem from Miami circa 1986—and you'd at least be right about the anthem part.
- 2015
- Thundercat
  Them Changes
  Brainfeeder
  
  What happens when The Isley Brothers and Parliament/Funkadelic get together, switch on a lava lamp, and excavate the darker corners of their minds.
- 2015
- Sami Baha x Rihanna
  Bitch Better Have My Money (Total Freedom Edit)
  Self-released
  
  An edit of an edit is a very Total Freedom thing to do, but what's even more Total Freedom about this unbelievable track is its signature of violence and grace, the powder-keg energy kept in check by a sexy swing.

- 2016
- Mr. Fingers
  Qwazars
  Alleviated Records
  
  Sci-fi synth work, lyrics about the cosmos and those inimitable Mr. Fingers chords—three decades into his career, living legend Larry Heard showed us another side of his artistry.

- 2016
- Pearson Sound
  XLB
  Pearson Sound
  
  David Kennedy has tried his hand at—and aced—a frankly silly amount of different sounds in the past ten years, but this wall-melting techno bullet continues to draw gasps when it's played out.
- 2016
- Onur
  Nomadie
  Time Passages
  
  Drawing from electro and techno, this track captured the brain-scrambling neo-minimal sound Onur Özer helped shape.

- 2016
- Sir Spyro, Lady Chann, Teddy Bruckshot
  Topper Top
  Deep Medi Musik
  
  Like the second coming of "Skeng," each verse of this guaranteed rave shutter-downer is packed with unique character and the whole thing goes off like dynamite.
- 2016
- Carla dal Forno
  Fast Moving Cars
  Blackest Ever Black
  
  A highlight from the Australian's debut LP You Know What It's Like, "Fast Moving Cars" was at once a call for adventurousness and a model of aching stillness.
- 2016
- Abra
  Crybaby
  True Panther Sounds
  
  With about 30 different hooks packed into five minutes, Abra rode the contours of her stripped-back and irresistible bedroom R&B.

- 2017
- Sakro
  No Time To Explain
  raum...musik
  
  Minimal house doesn’t have many massive anthems, but this floor-wrecker from Mexico was one of them.

- 2017
- Machine Woman
  Camile From OHM Makes Me Feel Loved
  Technicolour
  
  It may have only taken her five minutes to make, but with those grinding drums and swirling, romantic chords, Machine Woman's 2017 hit feels timeless.
- 2017
- Objekt
  Theme From Q
  Objekt
  
  TJ Hertz, master of intricate rhythms, let his hair down to make one of the decade's catchiest and most ubiquitous bangers.

- 2017
- Bullion
  Blue Pedro
  The Trilogy Tapes
  
  Whether you had "mid-tempo sea-shanty house jig" on the cards for 2017 or not, we got it anyway—and it hasn't stopped making us grin since.

- 2017
- Violet
  Togetherness
  Naive
  
  Violet's breakout track was sunny house with a sprinkling of breakbeat, the perfect representation both her and her label, Naive.
- 2017
- DJ Lag
  Ice Drop
  Goon Club Allstars
  
  DJ Lag's sleek, hammering gqom made him one of the genre's first idols, and "Ice Drop," with its clever use of space and swing—and colossal stabs—was his first anthem.

- 2017
- PTU
  A Broken Clock is Right Twice a Day
  Trip
  
  The sound of a computer eating itself, the weirdo Russian act's techno version of total system meltdown.

- 2017
- Yaeji
  Raingurl
  Godmode
  
  Not many house tracks can inspire a festival's worth of people to sing along at the top of their lungs, but not many producers are like Yaeji, whose groovy beats and deadpan hooks made her a bona fide pop star.
- 2017
- Pharmakon
  Transmission
  Sacred Bones Records
  
  Confrontational, cathartic and powerfully raw, on "Transmission" Pharmakon forced us to face our deepest fears; as she told RA in 2017, "When you're a human facing the human condition, your own mortality… that is terrifying."
- 2017
- Kara-Lis Coverdale
  Moments In Love
  Boomkat Editions
  
  Sometimes a loop can feel like everything, encapsulating the pain and joy of being alive. The concluding movement off the Montreal composer's breakthrough EP Grafts was one of those loops.

- 2018
- upsammy
  Another Place
  Nous'klaer Audio
  
  A barnstorming meld of morphing synths, welting kicks and a metronomic triangle, "Another Place" is the peak of both upsammy and parent label Nous'klaer Audio's fine catalogues to date.

- 2018
- LSDXOXO
  Death Rattle
  Self-released
  
  Mr. Vegas's "Heads High" never sounded better than when LSDXOXO gave it a Baltimore Club beat and '90s house synths on his pivotal mixtape, BODY MODS.
- 2018
- DJ Lilocox
  Fronteiras
  Príncipe
  
  Batida grooves for balmy summer nights from the Lisbon artist's excellent debut EP.

- 2018
- Donato Dozzy
  Cleo
  Eerie Records
  
  Techno so tender it gave you goosebumps.
- 2018
- DJ Call Me
  Marry Me
  Highlife
  
  DJ Call Me's sickly sweet Eurodance-kwaito hybrid took six years to make it from South Africa to the rest of the world, but its simple pleasures are timeless and universal.
- 2018
- Eris Drew
  Hold Me (T4T Embrace Mix)
  Naive
  
  Eris Drew's DJing and production hinges on a type of old-school dance music worship that she's made into a lifestyle. "Hold Me" is its anthem.

- 2018
- Slikback
  Ascension
  Hakuna Kulala
  
  As the decade drew to a close, the Kenyan artist Slickback emerged at the forefront of a new generation of club producers from East Africa—and in "Ascension," he had a genuine floor-filler.
- 2019
- Marie Davidson
  Work It (Soulwax Remix)
  Ninja Tune
  
  This festival smash that gave DJs another way to sneak Outlander's "Vamp" into their sets.

- 2019
- India Jordan
  DN4
  Local Action
  
  This standout from India Jordan's jaw-dropping debut EP captures their dual strengths—building a head-swirling atmosphere and ravey warped synths that burrow deep—in one urgent belter you'll desperately need to listen to over and over again.
- 2019
- Aurora Halal
  Eternal Blue (Wata Igarashi Crossing Remix)
  Mutual Dreaming Recordings
  
  Two of the decade's most psychedelic techno artists crossed paths on this mind-bending masterpiece: a propulsive powerhouse of spiralling arpeggios set to take any dance floor to another universe.

- 2019
- AceMo & John FM
  Where They At ? ? ?
  Self-released
  
  That instantly recognizable "Show Me Love" bassline, coupled with a subtle jungle breakbeat and John FM shouting out butch girls and equal pay, made AceMo's "Where They At ? ? ?" nearly inescapable on Brooklyn dance floors.
- 2019
- SHYGIRL
  BB
  NUXXE
  
  Every member of the NUXXE crew makes eye-opening leftfield club, pop and hip-hop, and SHYGIRL is their queen bee, as the urgent, intoxicating rapidfire rapping of "BB" attests.

- 2019
- Powder
  New Tribe
  Beats in Space Records
  
  Powder's knack for crafting hypnotic dance tracks reached new heights on "New Tribe," which came with one of the decade's cutest music videos.
- Listen to highlights from the definitive tracks of the 2010s on Spotify, Apple Music and Buy Music Club.
  
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  Reflections Of A Black Woman In Dance Music