- アシイイイイイッド!
- 今回でRAのPodcastが303回目ということで、 RolandのTB-303をテーマにしようと思いついた。つまり、このシンセの影響によって誕生したアシッド・ハウスだ。このアイデアを実現するべく我々が着目したのが、UKで間違いなくそのサウンドを最も体現しているプロデューサーのひとり、Gerald Simpsonだ。代表的な例として彼が1988年に発表したナンバー"Voodoo Ray"が取り上げられるだろう。Geraldは808 Stateの創設メンバーのひとりでもあり、彼らは長年の名曲"Pacific State"を世に送り出した(“彼ら”というよりはGerald 1人だったかもしれないが、それはまた別の話として)。それに加えて、GeraldはJuice Box Recordsからリリースした初期作品を通してジャングルというジャンルを確立したひとりでもある。その後も、このマンチェスター生まれのアーティストは革新的な進化を遂げ、影響力のあるフルレングスを数々リリースし、自身のサウンドをさらに昇華させていった。近年、ベルリンへと拠点を移した彼は、“ギャングスタ・テック”と呼んでいるプロジェクトを進めているが、それは彼自身の言葉で説明してもらおう。
RA.303ではGeraldの持つコレクションでもビンテージ・アシッド・ハウスが軸となっているが、定番シンセであるTR-303を使用したアシッド・サウンドも加わった、彼らしい色が添えられたミックスになっている。
最近の活動はどんな感じですか?
“ギャングスタ・テック”という新しいタイプのテクノ作品を仕上げているところ。このプロジェクトのユニークな点はライブという形体だけでパフォーマンスすることかな。これは、特大サウンドシステムを目の前にしてはじめて理解できるサウンドなんだ。
このミックスの制作環境について教えて下さい。
3月に自分のスタジオで制作した。
ミックスについて何か特別なアイデアがあれば教えてください。
303回目のPodcastということで、RAがそれに沿ったミックスにしてくれと話をしてきたんだ。だからアシッドの根本となった作品まで遡ったよ。シカゴのトラックほど、このミックスの出だしに相応しいものは無いだろ?
TB-303を初めて聴いた時のことを覚えていますか?
1983年のNewcleusの"Jam On It"というトラックだね。
TR-303を初めて使用したのはいつですか?
TR-303が発売した当初だ。マンチェスターにある楽器屋で606と一緒に売られていて、毎週土曜日にあらゆる機材を試しに行ったのを覚えているよ。
アシッド・ハウスですが、この先進化していく兆しがあると思いますか?
俺の中ではないかな。30年前の、昔からのアシッド・ハウスを大切にしているからね。むしろ俺は、最新の機材をどうやってクリエイティブな方法で駆使できるかを模索しているんだ。でも、周りの人たちが思い出に浸る手助けはできるけどね。
今後の予定は?
ライブ・ショーの為の作品をとにかく作成し続けているよ。ギャングスタ・テックの達人になるためにもね。チージーな90年代のダンス・ミュージック好きな、現在売り出し中のアメリカ人ラッパーに提供する音楽とは訳が違うんだ。漆黒のギャングスタ・テックなのさ。