RA.509 Ruby My Dear

  • 掲載日
    Feb 29, 2016
  • ファイルサイズ
    144 MB
  • 時間
    01:02:51
  • メロディアスなブレイクコア
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  • ブレイクコアはとっくの昔に死んでしまった音楽ジャンルだと思っていたなら、それは間違いである。特定のサウンドというよりは戦略の一つとして考えられる、包括的なサブジャンルであったブレイクコアは、確かに耳にする機会は以前とくらべて大幅に減ったものの、今もひっそりと鳴っているのだ。1990年代、ヨーロッパやオーストラリア、カナダ、USの諸所で行われていたスクワット(不法占拠)パーティーから生まれ、ジャングル、ラガ、ブレイクビート、ハードコア、ガバといったダンス・ミュージック・スタイルがごちゃ混ぜになったその音楽は、その後どんどんと変化していき、世界中に広がり、やがてアンダーグラウンドへと後退していった。オランダのPRSPCTや、UKのBangfaceなどが今もコツコツと活動を続けているが、基本的にはもはや世間から隔離された、閉鎖的なシーンだ。しかしフランスのトゥールーズに拠点を置くRuby My Dearは、ブレイクコア界隈の外からも注目を集めている。 Thelonious Monkによる1947年のバラードの曲名から名前を拝借したRuby My Dearは、ジャズ、オペラ、ファンク、ロック、そしてフランスやアジアの民謡などを様々なダンス・ミュージック・スタイルと融合させ、6年ほど前からPeace Off、Acroplane Recordings、Ad Noiseamといったレーベルから作品をリリースしてきた。しかしRuby My Dearが他と一線を画すのは、そのずば抜けたメロディー・センスである。出世作である2012年のアルバム『Remains Of Shapes To Come』では、ブレイクコアの巧妙さとパンク精神を詰め込んでいながら、チャラけた悪ふざけは排除。真剣で成熟した内容ながら生意気さもあり、知性と遊び心両方に溢れる作品であった。続編『Form』でもまた、その絶妙なバランス感覚は健在であった。Ruby My Dearは曲に色々な要素を詰め込む癖があるが、今回のポッドキャストでもそれは言える。もし今回、あなたがブレイクコアというものに初めて触れるのだとしたら、信頼できるナビゲーターがいるから安心してほしいが、手に汗握る冒険になることは先にお伝えしておこう。 近況報告をお願いします   EPを12月にKaometry Recordsからリリースしたんだ。仕上がりには満足しているよ。またブレイクコアに戻りたいと思っていたんだ。最近はスタジオに新しい機材を設置していた。Pultecのイコライザーとかね。あと3rdアルバムを今制作中で、早くリリースできたらと思ってるよ。ベルギーのギグから戻ってきたばかりなんだけど、初めてのベルギーは楽しかったよ。ブレイクコアを聴くには(そしてビールを飲むには)最高な場所だ。 ミックスの制作環境を教えてください トゥールーズの自スタジオで、1月にAbleton Liveを使って録音したんだ。 ミックスのコンセプトについて教えてください 今回は、IDM/アシッド系のトラックで始まって、ブレイクコアで終わっている。こういった音楽の個人的に好きなところはメロディーとパンチ力で、それをハイライトすることが目的だった。John Fruscianteの『Renoise Tracks 2009-2011』から良い曲を見つけたんだ。IDMとドリルのちょうど良い中間のような。僕はDJではなくて普段は曲づくりに時間を費やしているんだけど、今回このミックスを作ることで新しいサウンドを見つけたり、友人の新曲を聴くことができてよかった。 トゥールーズには今、ブレイクコアのシーンはありますか? 今トゥールーズにはないね。10年〜15年ぐらいまでにはあったんだ。自分は、フランスの新世代ブレイクコア・アーティストの一員だと考えているよ。Peace OffやBedroom Researchといったレーベルはフランスのブレイクコアやエレクトロニカにフォーカスしている。でも、今こういう音楽はUKとかベルギーなど、北ヨーロッパのほうが盛んだね。 あなたはRuby My Dear以外にも名義を持ってますね。他のプロジェクトについて教えてください 今同時進行しているのは2つのプロジェクトなんだ。ひとつはBorderougeで、ベース、ドラム、ラップトップのトリオだ。ドラマーとベーシストはSECというバンドもやっていて(ここで聞ける)、フランスのDIYロック・シーンで活動しているんだ。1st EPをもうすぐリリースして、初ライブもトゥールーズでやる予定だ。数ヶ月以内にリリースできたらと思ってるよ。もうひとつはDigital Velvetで、シンガー、ドラマーと ラップトップのライブアクトだ。春にBlood Musicからアルバムを出す予定だよ。7月にFreqs Of Nature Festivalでやるのがフランス外では初ギグになる。 バンドと一緒にやるのは楽しいよ。エネルギーが違う。あとこのふたつはとても音楽性が異なるバンドだ。Borderougeはロック・デジタル・パンク系でノイズとエネルギーがキモだ。Digital VelvetはIDMとトリップ・ホップ寄りなもので、声や空間に重点を置いている。普段やっていることとは違うことができて、新しい発見があるから非常に面白んだ。 今後の予定は?  全てのプロジェクトを進めることだね。4月にはBangface Weekenderに出るよ。あと、RMDのニューアルバム。次のアルバムはメロディアスなブレイクコア・メタルになる。事の発端は、古いフランスのアーティストのトラック"La Galere" (SECが最初に使っていた)をリミックスしたことだった。その曲のメロディー、サウンド、空気感が気に入ったんだ。これまでのアルバムよりも映像的だと思う。なるべく生演奏を取り入れようとしているし、友人にも参加してもらっているんだ。Laure Leprunenecも参加している。制作手順としては、最初にMIDIピアノでメロディーを作ることから始めるんだ。ソロピアノ曲でも十分に聞けるトラックが多い。来月には完成させたいね。
  • トラックリスト
      Ruby My Dear - Nour John Frusciante - Genex 44 Pants and Socks - Memories Ghost 3.13 - Quietly Broken Ruby My Dear - Hat And Beard Venetian Snares - Sissy Growl 2Methyl - Lab dgoHn - All The Fuckin' As John Frusciante - Singular Scope 85 Ruby My Dear & Igorrr - Barbecue Monster x - Hunter Stazma - Gore Tech & End.User - Atlantic Warfare (Original Mix) Skull Vomit - Come What May ft Steve Grimmett & Stazma the Junglechrist Ruby My Dear - No Smoke
RA