- 昨年リリースされたLaurel Haloによる美しくメランコリックなアルバム『Quarantine』での絶妙なイレギュラー・グルーヴやヴォーカル実験を期待してこのシングル「Behind The Green Door」を聴くと、部分的にしか満足できないかもしれない。最初は、ヴォーカルすら聴こえてこない。ここにあるのは、UKベースとテクノに多大な影響を受けたロウでフリーフォームなプロダクションだ。
"Throw"はプリペアード・ピアノのようなサウンドで幕を開け、うねったりこぼれたりしながらやがて雷鳴のようなベースラインが姿を現す。その瞬間はかなり強烈でハードだ。"UHFFO"もまたライトなタッチと言うには程遠く、ベースが狂乱的に殴りつけられ、そこに時おりコードらしきサウンドが上書きされ、デトロイト的なシンセが駆け上がる。
"NOYFB"は床を逃げ回る蟲のようにペースやディレクションを目まぐるしく変える。いわばHaloの宇宙観を投影したトラックで、さまざまなアイデアが自在に生まれては消えていく。冒頭でのひりひりするような不揃いのリズムをサイファイ的なフェイザーが掻き消し、やがて鮮烈なヴィブラフォンのモチーフが現れる。4トラック中もっとも飾り気のないトラック"Sex Mission"では粗暴なキックと典型的なテクノのビートが組み合わされ、そこにキーが流れ落ち、強烈でピッチの早いグルーヴが落とし込まれている。彼女のライブセットの中で培われ生み出されたと思しきこれらのトラック群は確かにダンスフロアーを視野に入れているものだが、それはあくまでも捩じれたフォーカスを通したものだ。
トラックリスト A1 Throw
A2 UHF F/O
B1 NOYFB
B2 Sex Mission