- Professor IncことFrederic Poixは密集したダンスフロアーのためのディープで慎ましやかなハウス・ミュージックを創り出す。この"Paris Paris"に関して言えば、その作家性は伸びやかなシンセ、エコーに浸されたパーカッション、アブストラクトなピアノ・モチーフという小気味よいハウスグルーヴとして表現だれている。"Essence"では"Paris Paris"でのジャジーな風合いを損なわぬままトラック全体を生き生きと色づかせていく。ジェントルなコンガを軸に、中近東的な響きを持つオルガンがこぼれおちていくようだ。
がっしりとしたキックを据えた"Wa"はこのEP中でも最も屈強なトラックだ。ダブ・テクノからの影響を遠くで響かせつつ、彼のサウンドはより暖かな質感を持ち合わせている。"Yeah"はまさにそうした持ち味が活きたトラックで、ミッドテンポでゆったりとクルーズする前半から、一切の装飾もないままアナログ・シンセの展開へなだれ込んでいく。同じくRue de Plaisanceから今年始めにリリースされたIvano TeleptaやAlex JansenのEPほどの中毒性たっぷりのねじれではないものの、Varoslavが立ち上げてまだ2年にも見たないこの新興レーベルにとってこの「Paris Paris」はまちがいなく特筆すべきレコードのひとつといえるだろう。
トラックリストA1 Paris Paris
A2 Essence
B1 Wa
B2 Yeah