- 『7 Days Of Funk』は、Snoop Doggがこの10年で作成した中でベストの音楽だ。しかし、これには驚いた。というのも、最近のディー・オー・ダブル・ジー(Dogg)は、トラック・メイキングよりも、常習的にひどい映画や商品を売り込んでいるからだ。そうした最低最悪のもの中から選りすぐるなら、全く面白くないマリファナ・コメディ『Mac & Devin Go To High School』、リアリティ・ショー『Snoop Dogg's Fatherhood』、そして歌詞をまとめた喫煙可能な本(まあ、これはよしとしよう)などが入ってくる。Viceがスポンサーとなり、異なるカルチャーに馴染むのが下手な人や、レゲエの偽物みたいな音楽、脳がとろけそうになるようなスカンクなどを扱った『Reincarnated』は、これまでで最も酷かった。アイデンティティの危機など誰も必要としていないし、望んでもいない。しかし、経済的な成功を考慮すると、Snoopの作品に対するどんな批判も形だけのものになってしまう。彼のSnoopifyなるアプリだけでも、架空のアイテムの売買を通じて週に30,000ドル(約、3,000,000円)の儲けを出している。そのアイテムの中で一番高いのは100ドル(約、10,000円)の"金のジョイント"だ。金はいつだってSnoopの常套手段だ。しかし『7 Days Of Funk』以前は、良い音楽を作るということが、ビジネスプランから切り取られていたように思う。
もし『7 Days Of Funk』の成功が驚きではないと感じさせるものが1つあるとすれば、それはDâm-Funkとしてよく知られているDamon G. Riddickの存在だろう。2011年にYouTubeに現れたRiddickのDJセットの1つの中でフリースタイルを披露していたSnoopのビデオ以降、この2人のコラボレーションであれば、きっと楽しめるものになるのは明らかだった。このアメリカ人アーティストは80年代後期から音楽を制作してきていたが、ほとんど商業的な成功はなかったこともあり、ここにきて、彼の音楽が世界中のオーディエンスに届くようになったというのは、とても励みになるだろう。
Dâm-Funkが80年代エレクトロニック・ファンクを好きなのは明白だ。彼のトラックからはGeorge Clinton、Roger Troutman、そしてSlaveからの影響がにじみ出ており、これらはSnoopのデビュー・アルバムにして、最高傑作である『Doggystyle』にも影響を与えた、まさにあの音楽である。彼らの共同作業の結果からは、Snoopはかつての素養を刷新していることが分かる。最近のSnoopのクリエイティブ性が枯れている時期、という文脈の中では、このことは悪いことではない。彼は、あるインタビューで、Riddickとの作業でコツを取り戻したとさえ語っている。この点は否定出来ないだろう。
歌詞の面では『7 Days Of Funk』には、それほど考えさせられることはない。基本的にSnoopは、いかに自分がファンキーで、どれだけ楽しい時間を過ごしているのかを言っているだけである。かつての作品を定義付けていたような女性嫌悪やギャングスタイズムからは程遠いものだ。しかし、彼が既婚者で億万長者であることを考えれば、驚くことではない。今回、Snoopの担当は主に、Riddickの素晴らしく色彩豊かなビートに質感を加えることだ。Parliamentが最も生々しく即興的だった時期に、George Clintonがやっていたことと、ほとんど同じ役割だ。本作には多くの突出したトラックが収録されているが、おそらくベストなのは"Do My Thang"だろう。滑っていきそうなシンセベース、サイファイ・ファンク、そしてナンセンスなラップ(Snoopがやっているシューズブランドのことが、ここでは重要なのだ)を完璧にブレンドしている。アルバムのほとんどで感じることだが、現行のラップ・ミュージックで失われていることが多い自発的な感覚が、このトラックにはある。それがあるからこそ、より素晴らしいものになっているのだ。
トラックリスト 01. Hit Da Pavement
02. Let It Go
03. Faden Away
04. 1question? feat. Steve Arrington
05. Ride F. Kurupt
06. Do My Thang
07. I’ll Be There 4u