Marcos Valle - 1985 / Prefixo (Theo Parrish & Daz I Kue Remixes)

  • シェアする
  • ロンドンにおいて一際ブラジリアン・ミュージックを発信続けるFar Out Recordingsは、単に伝統的な音楽だけでなく現在のダンス・ミュージックにも密接な繋がりを持ち、新旧のアーティストや音楽を提供する優良なレーベルだ。そんなレーベルの新作は70歳を越えて今尚現役で活動するブラジルのシンガーソングライター・Marcos Valleによるもので、ここでは以前にもFar Out関連でリミックスを提供したTheo ParrishとBugz In The AtticのメンバーであるDaz-I-Kueが、リミキサーに起用されている。 リミックスされているどちらの曲も元々は2010年にリリースされたアルバム『Estatica』からのシングルカットで、既にアルバムからは5年が経過しているもののリミックス自体は両アーティストの個性が打ち出され、自然と今のダンス・ミュージックとして成立している。Theoが手掛けた"1985 (SS Translation)"はファンが期待する音楽性以上でもなく以下でもなく、おおよそ多くの人が予想出来る彼らしいざらついたビートダウン・ハウスに仕上がっている。上モノには変化を加えずにビートレスだった原曲に膨れ上がる重低音のベースやキックにざらついたハイハットを加えて、荒涼とした鈍い音質のリズムによりロウな質感がより生々しさを発し、Theoらしい煙たい空気ながらも温かい血潮がたぎるソウルフルなリミックスだ。フュージョンらしい華麗な原曲が、Theoの手によって荒さが加えられた事でよりその華麗さも際立っている。Daz I Kueがリミックスした"Prefixo (Bloodfire Remix)"も、原曲の耽美なピアノやフルートの旋律をそのままに、4つ打ちのざっくりとしたビートへと作り変える事で西ロンのブロークン・ビーツの流れを含むハウスへと生まれ変わっている。優雅でおっとりとしたフュージョン風な原曲のメロウなムードはそのままに、より力強いグルーヴを刻み躍動感あるパーティーチューンとして魅力的だ。単に伝統的な音楽を継承するだけでなく、このようにモダンなセンスも取り込んでいく音楽性は、クラブ方面からもFar Outが支持される所以だろう。
  • トラックリスト
      A1 1985 (SS Translation By Theo Parrish) B1 Prefixo (Bloodfire Remix By Daz I Kue)
RA