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Tresvibes at WOMB
掲載日
Mar 31, 2016
文
Riku Sugimoto
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テクノ・ドラムンベースの人気パーティーから、EDM・トランスの華やかなイベントまで、国内外のシーンにおけるアイコンが主導する多彩なラインナップを擁し、16周年を迎える今年も根強い人気を誇るWOMB。中でも、ひときわディープなミニマルに注力しているレギュラーパーティーがDJ PI-GE、Satoshi Otsuki、KikiorixによるTresvibesだ。今回のゲストはPERLONファミリーの一員として本名またはJunction SM(Dandy Jackとの共作)名義で数少ないながら印象的なリリースを残し、近年DJとしても世界各地のフェスティバルや有力なパーティーに招致されているベテランDJ Sonja Moonear。さらにベルリンのディープスポットClub der Visionaereのレジデントとして、渡独後も精力的に活躍するYone-Koを迎えての開催となった。2月に新装開店したばかりのWOMBに訪問する、格好の機会と思い足を運んだ。 メインフロアの照明はよりきらびやかなイベントで真価を見られそうだが、派手に用いずとも高いクオリティが感じられた。箱の基盤となるサウンドも、重心や音圧が明らかに強化されたようだ。照明のフレームの昇降をコントロールすることもできるようで、この日はフレームを低めに設定し密室感あるフロアを演出。オープンアクトを務めるPI-GE、Satoshi OtsukiのB2Bの低いうねりをキープするミニマルともマッチしていた。フロアを見回してみると、全体の客層は観光客、もしくは在住の外国人が半分近くを占めており、かつ特定のサウンドにこだわらず遊びにきているような印象を受けた。「WOMBでのクラブ体験」を目的に来ている客と、その日のサウンド・アクトを目当てに来る客がバランスよく混在しているのがWOMBの特徴と言えるだろう。 WOMB LOUNGEは壁を取り去りガラス張りの外観へと大きく変化。観客やライティングを室外からも一望できる造りだが、この日は白い幕を張って程よくクローズ感を演出。サウンドシステムはなかなか見かけないYamaha製だが、聴き心地もよく迫力のある抜群なクオリティ。この日のWOMB LOUNGEはデザイナー/フォトグラファーとしてベルリンをはじめ国内外で活動するYu Hokazonoがオーガナイズし、ウルグアイ出身の新鋭Omarをゲストに迎えた。ブース前と天井吊りの空色のキャンドルが美しいコンセプチュアルな空間の中、一人目のDJであるKabutoはデトロイティッシュなエレクトロ・ブレイクビーツとアナログな質感のディープハウスを往復しつつ、ストレートな流れにまとめる流石の腕前を見せた。
VIP LOUNGEはTresvibesメンバーKikiorixが主導となり、ディスコ・ハウス系のサウンド中心のラインナップ。柔らかな照明が心地よい小規模なフロアは、パーティー中盤ということもあって入る隙間も少ないほどに多くの人が入り交い、Kaoru Inoueのバレアリックなハウスで緩やかに踊っていた。 ふたたびWOMB LOUNGEに戻ると、個人的な目玉でもあったウルグアイの俊英OmarがDJをスタート。Nicolas Lutzらと共に次世代を担う南米出身ベルリン在住の若手だが、選曲の独自性からフロアコントロールまで実力は折り紙つき。西海岸系のアクの強いハウスからスタートしたかと思えば、ブリーピーなテクノで徐々に加速し、自然な流れでUR直系のエレクトロセットに移行。なかなか国内のミニマル系パーティーで130を超えるBPMは耳にしないが、酒とムードを楽しむ人々から音に没頭するパーティーピープルまでまとめて踊らせる力強さがあった。Taroはテンポを引き継ぎながらもモダンなミニマルにシフトし、いつもよりもさらに疾走感のあるDJを披露。明らかに引き締まったサウンドを創るミキサーさばきを含めベテランの技が光っていた。Untitled Recordsから先日リリースされた盟友Mikio Kaminakamuraの楽曲もプレイ。
メインフロアの2番手Yone-Koは地響きのようなローのミッドテンポなテクノから始まり、パルス音と骨太なビートが主軸となる展開。昨年も感じたが、彼のセットには迷いなきテクノへの傾倒と憧憬が凝縮され、かつ客層を問わずノックアウトするような威力も併せ持っている。Sonja Moonearも近年のアップテンポなシーンの流れを汲んでか、かなり早いBPMでピークを演出した。ディープハウスとテクノの折衷的なトラックを中心に、Themis aka.Nail の”Close Your Eyes”のようなヒプノティックなフレーズがループするトラックから、跳ねたリズムの歌ネタトラックまで幅広い選曲。じっくり思考しながらをレコードを選ぶのではなく、嗅覚と瞬発力で最良の展開を導き出しているような、カラフルで振り回されたくなるような魅力があるミックスであった。終演後、フロアの人々の走りきった爽快な表情は、何よりもこのパーティーの充実度を物語っていたように思う。
Photo credit: Tomokazu Furuya
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